氷菓 第17話 「クドリャフカの順番」

古典部 vs 十文字。あなたも事件の目撃者に!
千反田戦略メモ。メモ帳にもエプロンと同じナスのマークが。女帝アドバイスもどこかに書かれているはずです。
交渉が苦手な千反田ですが,自分なりに頑張っています。
店番をしているのは摩耶花。そして減っている文集。
なるほど奉太郎が動いたわけですね。里志が落ち込んでいたわけです。
女帝がぬいぐるみ好きだったとは。
ラジオ番組出演中の千反田が気になっているようです。
ラジオ番組の効果もあって大盛況の古典部の部室。
谷くんや羽場,遠垣内,田名部先輩の姿も。
燃える校了原稿。
十文字は達成されます。
「はっきり言おう,お前にはああいうのは向かない」
千反田にはへたに画策するのは向いていない,単刀直入な言い方しかできないのは他では得難い武器でもあると。
里志は十文字事件の犯人である田名部先輩と交渉する奉太郎を見ていました。華麗に謎解きを。
十文字事件とはそれ自体が暗号。「く」で始まる相手に「く」で始まるものがすぐに失われているというメッセージを伝えるのが目的。
伝えたい相手しか知らない解読法を使ってメッセージを送る。
それが「クドリャフカの順番」のテーマだったと推理する奉太郎。
メッセージを送りたかった相手は「夕べには骸に」の作画担当の陸山。
例の文化祭のしおりのページには陸山の名前も。
陸山が「クドリャフカの順番」を無くしてしまった。それを非難するために今回の事件を仕組んだ。
この件を口封じする代わりに総務委員会で文集を買ってもらい,学校のサイトでネット販売をしてもらうことに。
それで氷菓を話題にするために,古典部を最後の標的にしてもらいます。ということで自作自演でした。奉太郎の交渉の手腕は見事です。
河内先輩が可愛い
春菜とは友達でした。
夕べには骸にはシリアス。でも自分の作風はギャグだからということで無理に否定します。
初めての漫画であれだけの原作を作ってしまう友達。
自信を持っていた分野で圧倒的な才能を見せつけられることによって,それから目を背ける道を選んだ河内先輩。
先輩の投げやりな態度はそのせいでした。
ボディトークの作中に何度も登場するキャラクター。
作者は河内先輩でした。
才能があるだけに差に気がついてしまいます。
摩耶花も漫画を描くものとして河内先輩の気持ちが痛いほどわかってしまいます。
十文字の暗号は陸山に届いていないと思っている田名部。
原作はあるのに何でもう一度描かないのか。その気になれば凄いものが作れるのに。
描こうとしない陸山に,なぜ描かないのか,原作を読んだのかということを伝えたくて回りくどいことを。
氷菓は無事完売。
千反田邸で打ち上げをすることに。思う存分飲んで下さい。
次回は「連峰は晴れているか」
雑誌に載った短編でまだ書籍化されていないものをもってくるとは……
未読なので楽しみです。BD9巻の特典でこの小説が付いてくるということです。書籍化はされるのだろうか。
http://pandreamium.sblo.jp/article/24590482.html
作者による「連峰は晴れているか」のあらすじ。
「絶望的な差から期待が生まれる」
「自分に自信があるときは期待なんて言葉を出していけない。期待っていうのは諦めから出る言葉なんだよ」
この田名部先輩と里志の言葉にこの作品のテーマが示されています。
奉太郎に勝ちたいわけではなかったけど,見上げるだけではなく同じところに立ちたかった里志。
今回は条件的に勝てる可能性があったので,憧れである探偵役にチャレンジしていました。
でも鮮やかな奉太郎の推理と交渉を見てしまうことによりきっぱりと諦め,もとのデーターベースのポジションに戻ります。
その気持ちがわかるのが摩耶花です。
「夕べには骸に」での圧倒的な才能を目にすることによって,それに憧れながらもその域にまではまだまだ届かないことを知っています。漫画を描きその評価にも精通しているだけに壁を感じてしまいます。
でも摩耶花は絶望するのでも誰かに期待するのでもなく自分のいまの実力をしっかりと見据えていますし,良いものを評価し愛することができています。
河内先輩は圧倒的な才能の持ち主が友人だったこともあって挫折してしまいます。
原作ではもし千反田に漫画の才能があり初めての作品で傑作を描いたら……という摩耶花の気持ちが描かれているのですが,知らない人ならその才能に憧れることができても,それが身内となると複雑な気持ちに。
才能がありながらも現実逃避してしまうことに。
一方,田名部先輩には漫画の才能はありません。
だから他人に期待するしかない。
その絶望感と劣等感が直接聞くことをできなくしています。
原作を読んだときには,そんなこと直接言えよと思ったのですが,アニメを通して田名部の気持ちが理解できるようになりました。才能にコンプレックスを感じている人の声にならない叫び(I Scream)がテーマになっています。
そして,才能の持ち主である奉太郎はその技術を使うようになっています。
その気になれば凄いものが作れるという田名部先輩の才能の無駄使いはするなという言葉は奉太郎にも響くものがあったと思います。
才能を持っている人には持たざる人の気持ちはわかりにくいものです。この事件を通して奉太郎にも変化がありそうです。
千反田は入須先輩のようになりたいという憧れがありましたが,入須との差や違いを気にするのではなく,無理をせずに自分らしさを生かした方がいいことに気がつきます。
挫折したり諦めたりするのではなく,こうするのが正解ですね。
久我山と田名部,安城と河内,奉太郎と里志という3つの関係の見せ方が見事です。
友人の天才的な才能を目にしてしまうことによって苦しむ凡人の姿をそれぞれ描いていました。
期待する側が諦め絶望する姿,それによって感じるほろ苦さが胸に来ます。
相手が友人でなければ苦しむこともないと思うのですが。それだけに自分との差を辛く感じてしまいます。
変な事件で片付けられてしまう十文字事件。
「お・つ・か・れ」
原作では田名部のメッセージは届かなかったということになっていましたが,アニメでは気づいていたことが示唆されています。救いの部分を残しています。
(田名部が十文字事件で文化祭を盛り上げてくれていたとしか認識していなくて,メッセージには気がついていないという解釈もできますが……)
気づいていることをもっと早く伝えていれば十文字事件はそこで終了していたと思います。
追記:氷菓スレで分類が
14 名前:風の谷の名無しさん@実況は実況板で[sage] 投稿日:2012/08/17(金) 00:29:58.81 ID:PeGJVYqr0
陸山ってなんで「お疲れ」って言ったの?
田名辺の意図まで分かっているよ派
│
├─ そんなに思ってくれていたのかこれから書くよお疲れ派(天使派)
│
└─ 気持ちは分かったが書く気はない骨折り損お疲れ派(悪魔派)
田名辺の犯行ってことには気付いてるよ派
│
├─ おかげでカンヤ祭盛り上がったよお疲れ派(天使派)
│
└─ おまえが犯人だとわかっているがバラさないでおいてやるククク派(悪魔派)
何も知らない天使の微笑みだよ派
│
├─ イケメンチートキャラに見えるが無類の天然だよ派
│
└─ 文化祭は大変だったねお疲れ派(小並感派)
複数解釈できるようにした京アニの仕掛けだよ派
│
├─ まさに神改変さすが京アニ派
│
├─ 原作レイプ氏ね京アニ派
│
└─ 原作厨と京アニ信者が相争うように強いられているんだ派
田名部先輩は当初は古典部をターゲットにしていませんでしたが,奉太郎によって10文字の意味に含みを持たせ,事件もしっかりと幕を引くようにしていました。
クドリャフカの順番はABC殺人事件をネタにしていますが,米澤さんによるアレンジの手腕は見事でした。
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「能力のある人間の無自覚は、能力のない人間には辛辣だ」
入須先輩のこの言葉を思い出してしまいました。
「青春は、やさしいだけじゃない。
痛い、だけでもない。
ほろ苦い青春群像劇」
京アニのキャッチコピーも見事だと思いました。
素晴らしい回でしたね。作品の持ち味であるほろ苦さをよく出していました。
里志や田名部先輩の気持ちは原作を読んでいたときにはそれほど深く考えていなかったので,「直接言えよ」と思っていたのですが,アニメを見て登場人物の心の機微が理解できるようになりました。
ここまで原作を理解している京アニには脱帽です。
入須先輩が言っていたように,能力を自覚していない天才が周りに与えてしまう影響の大きさが今回のテーマになっていましたね。
入須-千反田は友達ではなく先輩後輩の中なので能力に嫉妬することもありませんでした。
後輩を導く優しい先輩という一面も見れて女帝の評価が急上昇です。
http://ragho.net/
わたしはアニメの前に原作を読んだのですが,納得できる素晴らしい出来だと思っています。
個人的に京アニの細工法だと思っているAirの頃と比べると表現方法が変わってきていますが,原作の読解力やアニメでの表現力は見事なものがあります。
久我山は変換ミスです。
サブPCで追記した部分なので陸山が最初に登録されていませんでした。
リンク先の情報をありがとうございます。
さっそく保存しました。素晴らしいイラストですね。
遠まわりする雛が楽しみになります。
時間と距離の関係で加茂花菖蒲園に行くことはできませんでしたが,イベントも色々と開かれてゆきそうですね。
今更ですがコメさせて頂きます。
苦み成分の多いエピソードでしたけど
アニメで描写された以外にも
原作では冒頭の願掛けの件、誰かが願掛けでもしたのか?の回想
願掛けの際の追加投資金額と文集の委託による差額が
ピッタリ同額、など何回か読み返すとクスっと出来る様な
微妙な伏線と回収で苦みを中和してくれてるんですね。
アニメでは苦み成分に否応なく向き合った時に各々が
自罰傾向、他罰傾向、無罰傾向のそれぞれ対照的な反応を
見せてくれて
なおかつ彼なら、彼女ならと納得しやすかったですし
メディアの特性ごとに使える演出技法も違うという事で
原作もアニメも見ていて凄く楽しいです。
アニメでの苦み成分の見せ方は上手でしたね。
それぞれのキャラの反応を描いてくれていて,より一層原作を理解できるようになりました。
最初に原作を読んだときは理解が十分ではなかったこともあって余り高い評価をしていなかったのですが,アニメでいろいろと見えてきた部分があるので今ならもっと内容を理解できそうな気がします。