米澤穂信 「クドリャフカの順番」 感想(ネタバレあり)
![]() | クドリャフカの順番 (角川文庫) (2008/05/24) 米澤 穂信 商品詳細を見る |
「クドリャフカの順番」は古典部シリーズ第三弾。舞台は文化祭です。
これまでは奉太郎視点で物語が進行していましたが、今作は奉太郎、里志、千反田、摩耶花の4つの視点が切り替わりながら物語が進んでゆきます。
メインとなるのは古典部の文集を完売すること。
手違いで多く印刷しすぎてしまったので、完売を目指して古典部メンバーが奮闘することになります。
今作は青春ものとしての出来が素晴らしいです。読者として神山高校の文化祭を堪能できます。
特に千反田視点が最高です。
これまで個人的に千反田はウザイ奴だと思っていたのですが、この巻でようやく可愛さを理解できました。
ミステリー的にはミスリードの使い方が実に上手でした。
事件の真相やそれに到達する推理部分では少し疑問符がつくのですが、ミステリー作品ではなく学園青春ものとして見るとかなりの良作です。


ハードカバー版の表紙と文庫版の最初の表紙。
ハードカバー版は「十文字事件」というサブタイトルが。
ちなみにカバーを外すとロシア語の文字が書かれていて、タイトルに出てくるクドリャフカのこと、ロシアの宇宙船、スプートニク2号に乗って宇宙に行った犬のことが書かれているようです。その犬の名前がクドリャフカです。リトルバスターズ!でも有名ですが。
文庫版では Welcome to KANYA FESTA! のサブタイトルが。
追記ではネタバレ注意の感想と解説を:
スポンサーサイト
TARI TARI PV第一弾公開!!
P.A.WORKS制作の7月開始予定のアニメTARI TARIのPV第一弾が公開されました。

http://taritari.jp/
HPもリニューアルされています。
http://twitter.com/intent/user?screen_name=taritarianime
twitterのTARI TARI公式アカウントも登場です。














聞き取った台詞(間違いがあるかもしれませんが):
夏の湘南を舞台にわたしたちの夢や勇気の物語が始まります。(あやひ)
夢とか勇気とか正直まだわかんないけど、(早見)
歌うことに宮本来夏は全力で望みます。(瀬戸)
はいはい。決意表明はそれくらいにして、物語の話をしなくちゃ。(早見)
え、え~っと……うん、坂井さん、お願い! (瀬戸)
えっ、わたし?! あ、え~えっと、わたしたちは合唱を……(あやひ)
は~い、時間がなくなってしまいました。まとめたいと思います。(早見)
晴れたり、(早見)
泣いたり、(瀬戸)
後は時々歌ってみたり、(あやひ)
TARI TARI 2012年7月活動開始! (全員)
江ノ電が登場しているので舞台が江ノ島であることは確定ですね。
男子キャラの登場シーンが多いので恋愛要素も強そうです。tt色が強くなりそうなので楽しみです。
坂道のアポロン 第4話 「バットノットフォーミー」
![]() | チェット・ベイカー・シングス (2010/09/22) チェット・ベイカー 商品詳細を見る |
ライブで演奏した曲。
チェット・ベイカーはトランペッターですが、途中から歌うように。
![]() | Blowin the Blues Away (1999/02/04) Horace Silver 商品詳細を見る |
この曲の前に演奏したもの。Blowin' The Blues Away
ホレス・シルバーです。
米澤穂信 「遠まわりする雛」 感想(ネタバレあり)
![]() | 遠まわりする雛 (角川文庫) (2010/07/24) 米澤 穂信 商品詳細を見る |
「遠まわりする雛」は米澤穂信さんの古典部シリーズ第4弾,7話収録の短編集です。
奉太郎たちの一学期,夏休み,二学期,冬休み,三学期,春休みがそれぞれ扱われています。
古典部シリーズは「氷菓」が春から夏休み,「愚者のエンドロール」が夏休み終盤,「クドリャフカの順番」が秋の文化祭が舞台になっているので,長編の合間や舞台裏で何が起きていたのかを知ることができます。
「遠まわりする雛」で特に優れているのは最後の二つ,「手作りチョコレート事件」とタイトルの「遠まわりする雛」です。シリーズの今後にも関係してくる内容でした。特にタイトル作の「遠まわりする雛」は素晴らしいです。アニメの最終話に持ってくるのではないでしょうか。
![]() | 遠まわりする雛 (2007/10) 米澤 穂信 商品詳細を見る |
ハードカバー版の表紙。
短編一つ一つを見るとそれほどクオリティは高くはありません。(ミステリー的には)
でも,古典部シリーズならではの地味な事件には短編も向いている感じがします。
この短編集では古典部の最初の一年間を扱っているので,それぞれの人間関係や個人の変化といった点を補完していて,古典部シリーズのファンとしては欠かせない一冊です。
追記ではネタバレ注意の感想と解説を:
米澤穂信 「ふたりの距離の概算」 感想(ネタバレあり)
![]() | ふたりの距離の概算 (2010/06/26) 米澤 穂信 商品詳細を見る |

古典部シリーズ第5弾。季節は5月、マラソン大会の話です。
奉太郎たちは二年生になり、古典部にも仮入部する一年生が現れるのですが、突然入部しないと言ってきます。
どうやら千反田との間に何かあったようです。
辞めることを言いだした翌日がマラソン大会にして、本入部の締め切り最終日。
それで、奉太郎はマラソン大会の最中に、何があったのかを推理し、問題を解決しようとします。
ミステリーでは安楽椅子探偵といって、自分からは動かずに座ったままで推理して事件を解決するというスタイルがあるのですが、今作ではそれとは真逆の探偵役がマラソンをしながら事件を解決するというわたしが知る限りでは初めての捜査方法が用いられています。
新入部員はなぜやめると言いだしたのか、千反田との間に何があったのかということに加えて、古典部メンバーの動きなども描かれていて非常に面白い内容になっています。
シリーズものなのでこれまでの作品を読んでいる方が楽しめます。
特に前作の「遠回りする雛」と「手作りチョコレート事件」は読んでおくことをお勧めします。
追記ではネタバレ注意の感想と解説を:
坂道のアポロン 第5話 「バードランドの子守唄」
![]() | バードランドの子守唄+2(K2HD/紙ジャケット仕様) (2007/06/21) クリス・コナー 商品詳細を見る |
Birdland はNYにある有名なジャズクラブです。バードランドの子守唄はその店にちなんで作曲されました。
バードはチャーリー・パーカーのニックネームです。
わたしにとってBirdlandといえばWeather Reportなのですが。
Lullaby of Birdland は Chris Connor よりも Sarah Vaughan の方が有名ですが,薫のお母さんに対するイメージはサラ・ヴォーンよりもクリス・コナーなのか。外見も似ているような気が。聞き比べてみると面白いです。
坂道のアポロン 第6話 「ユー・ドント・ノウ・ホアット・ラブ・イズ」
Keith Jarrett: You Don't Know What Love Is
Brad Mehldau: My Favorite Things
6話のタイトルは「マイ・フェイバリット・シングス」と発表されていたのですが,「ユー・ドント・ノウ・ホアット・ラブ・イズ」に変更されていました。
You Don't Know What Love Is(あなたは恋を知らない)は様々なジャズミュージシャンが取り上げていますが,ここではキース・ジャレットを。ビル・エバンス以降では最も重要なジャズピアニストであり,ビル・エバンスの流れをくんでいます。
My Favorite Things(私のお気に入り)はスタンダードナンバーとして有名です。ブラッド・メルドーは今ナンバーワンのジャズピアニストです。数十年に一人ぐらいの逸材です。
二人ともソロもトリオも素晴らしいアルバムがたくさん出ているのでジャズに興味を持った方にはお勧めです。
花咲くいろは HOME SWEET HOME 2012年度劇場版公開決定!!

http://www.hanasakuiroha.jp/index.html


本日劇場版の噂が流れていましたが,HOME SWEET HOME の公式サイトでも劇場版が制作中であることが公表されていました。
最初HOME SWEET HOMEの制作の話が公表されたときにはOVAだろうという意見が多かったのですが,アニメ放送後もイベントなどが盛り上がっているので,劇場版に切り替えたのでしょうか。2期はその後になるのか。
P.A.WORKSは夏にTARI TARI放送予定なので,いろは劇場版は早くて年末,年度ということで来年春,3月頃になるのではないでしょうか。
米澤穂信 「ボトルネック」 感想&考察(ネタバレあり)
![]() | ボトルネック (新潮文庫) (2009/09/29) 米澤 穂信 商品詳細を見る |
古典部シリーズですっかりファンになったので違う作品も読んでみたのですが……
これは面白い!!
パラレルワールドのSFミステリーです。
主人公は亡くなった恋人を追悼するために東尋坊を訪れますが,そこで何かに誘われるようにして恋人と同じように崖から転落します。
気がつくと地元の金沢にいて,そこは自分が知っていた世界と微妙に違っています。
パラレルワールドものなのですが,最後の後味の悪さというか作品に含まれている毒が最高です。
古典部シリーズのほろ苦さよりも,さらに暗くて重いです。
ストーリーも文体もラノベに近いのですが,この材料でこういう味付けをしてくるとは流石です。
古典部シリーズにも主人公の姉が登場しますが,この作品に登場する姉が実にいいキャラなのですが,いいキャラなだけに……
読みやすいのでアニメで米澤さんを知った方にもお勧め(BAD END耐性が必要かもしれませんが……)です。
深い意味を持っている作品なのですが,ラノベ感覚で読んでそこに気がつかないと訳がわからない,ラストの展開に納得いかなくて低評価になってしまうかもしれません(Amazonのレビューを見ると理解できていないゆえに低評価をつけている人が多くいます)。謎のままで終わるところが幾つかあるので,そこを考察すると色々と見えてくるものがあります。読者が探偵役になって答えをだすというスタイルなのでは。
東尋坊,金沢と知っている場所が舞台なので楽しめました。米澤さんは金沢の大学に行っていました。
後はネタバレになるので追記で:
坂道のアポロン 第7話 「ナウズ・ザ・タイム」
Now's The Time はチャーリー・パーカーが有名ですが,ここはアート・ブレイキーで。
「今がその時だ」ということで,文化祭のトラブルに演奏を開始していました。
ジ・オリンポスが演奏したのは,ザ・スパイダーズの「ヘイ・ボーイ」
わたし的にはヘイ・ボーイというとChemical Brothersなのですが……