あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。 第10話 「花火」

「行くわけないでしょ。どこまで人を馬鹿にすれば気が済むの。あの子たち。どこまで……」
好きな人に永遠に振り向いてもらえない気持ち
明日、花火を打ち上げる。前夜に決起集会を開くことに。
「自分だけが知っているような顔しちゃってさ」
ゆきあつのことで絡まれるつるこ。
ゆきあつの身長などのパーソナルデーター、そして趣味が女装であることを。つるこは何でも知っている。
ゆきあつに呼び止められて涙を流すつるこ。ゆきあつの気持ちが自分に向けられていないことに気がついています。
「見てるだけ……しか……」
子供の頃は見てるだけしかできなかった。だから今は自分で仕切りたいと。
どうやらめんまを助けることができず、見てただけだったようです。その反動が海外に行ったりする行動力として表れているようです。
「母ちゃんさ、俺の身長、何センチか知っている?」
本間家に届く花火の招待状。俺は行くと弟。
その人のことをどれだけ見ているのかというのがここでも身長で表されています。
弟のことをなにも見ていなかったことに気がつく母。
こうしてあなる、つるこ、弟の共通点が。
好きな人から見てもらいたいのにその人は他の人だけを見ているという切なさが。
父が言っていた「一緒に寂しいと思おう」というのが一つの解決策になるのか。
「めんまがいなくなったらわたしはじんたんと一番仲良くできる……でも違った。めんまが本当にいなくなったらじんたんとの距離は広がるばかりで……また距離が縮まったけど、それはめんまが戻ってきたから」
残された人たちはそれぞれ悲しい思いをしています。めんまの死によってすべてが狂わされてしまいます。
ゆきあつに「弱虫」と罵るつるこ。成仏を前にしていざとなったら怖がっていると。怖いからめんまから逃げてあなると一緒にいて、惨めなのは自分だけではないと思いたがっていると。
つるこが思い出すめんまのお願い。
「じんたんのためにお願いしたいことがあるんだって」
それが電話でみんなが呼び出された理由でした。
そこでゆきあつがあなるに何かお願いを。
余興としてもう一回「あの日」にあったことを再現しようとゆきあつ。
「じんたんって、めんまのこと大好きなんでしょ」
そして繰り返されるあの日。
「俺はめんまが好きだ」
そう言って逃げ出すじんたん。
じんたんの口からその言葉を聞くことによって涙するあなるでした。
「そうよ。代わりなんていないんだから。だからめんまを成仏させなきゃ」
そうすることによって永遠に過去に縛られ続けられることから抜け出そうと。これで成仏=ハッピーエンドという方向性が見えてきました。
「このままここにいればいいじゃないか」
好きだと言えたことで本音を言ってしまうじんたん。
でも、成仏して生まれ変わるというめんま。
成仏してみんなと再会するというのが今のめんまの願い。
「なあめんま、お前じんたんに好きって言われて、何て答えたんだよ」
ゆきあつさんは最後までブレない。
生まれ変わりのことをめんまに話していたじんたんの母。
命が終わっても赤ちゃんとしてこの世に生まれてこれると。でも一つだけ気になることがあると。
興味深いのは「お花の赤ちゃんだったりするかも」とじんたん母が言っていたことです。
タイトルに花が出てきますし、OP&EDでも花がモチーフとして描かれています。
1話で登場した牛乳瓶にさされていた枯れた花は花としての再生を暗示しているように見えます。
OP後の提供のカットでも「三人で一緒に」という台詞の後で登場した本間家の花が使われていました。
打ち上げの日、髪を切ったつるこ。子供の頃みたいです。
……今なら止められる。止めようとした瞬間に点火され打ち上げられる花火。
めんまのお母さんもそれを見つめていました。
それでも消えないめんま。
それぞれの想いが交差する中打ち上げられる花火。
その葛藤の描き方が最高でした。
めんまがいなくなることによってめんまから自分に目を向けられることになると考えていましたが、死の持つ永遠さが縛り続けることになります。死んだ人に勝つことはできません。
花火を神様に届けるために打ち上げるということでしたが、めんまが自分が成仏することを確信していたように、それはめんまのお願いとかなり近いところにあるはずです。
鍵となるのはめんまのお母さんが言っていた一つだけ気になること。それを受けてめんまがみんなを呼び出したことです。
普通に考えるとお母さんが気にしていたことは残されるじんたんのことなのですが。それでじんたんをみんなで支えてゆくためにじんたんを守るために新しい超平和バスターズみたいのを結成しようとしたと思うのですが。
めんまのお願いと成仏、そして生まれ変わっての再会をどのように次に描いてくるのでしょうか。
じんたんにとってのハッピーエンドになるのか。それとも全員にとってのハッピーエンドとなるのか。
「あの日」のことについての真相を知ることによってじんたんは救われることになりそうなのですが。
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テーマ : あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。
ジャンル : アニメ・コミック