第46回 Super Bowl New York Giants vs New England Patriots

第46回スーパーボウルはニューヨーク・ジャイアンツとニューイングランド・ペイトリオッツの対戦。
4年前と同一カード、4年前はNEのパーフェクトシーズンを大逆転で止めるという歴史的な試合、ニューヨークとボストンの対決、兄のペイトン・マニングのホームスタジアムに弟のイーライ・マニングが凱旋ということで話題に尽きない組み合わせでした。
米国内のテレビ視聴者数は平均1億1130万人と、昨年の1億1千万人を抜いて過去最多の視聴数を記録しています。
結果は21-17でNYGの逆転勝ち。まるで4年前のような展開でした。
試合前に見所記事を書こうと思っていたのですが、時間がありませんでした。
今年のスーパーは仕事の関係で4Qしかリアルタイムで見ることができなかったし…………
大方の予想では両チームともオフェンスが強力なのでハイスコアゲームになるだろうということでした。
わたし的にはNEのTE、グロンコウスキーとヘルナンデスをNYGのディフェンスがどう止めてくるのかという所が最大の注目点でした。
NYGのDE、ユメンオラ、タック、ピエールポールの強力なラッシュでプレッシャーをかけ、残りでパスターゲットをカバーする強力ディフェンス。
そして、ビッグゲームに徹底的な準備をしてくるNEのベリチェックHCは、メンバー的にはスペックが劣っていても、見事なプランニングを準備してくるはず、4年前の屈辱的な敗戦があるので念にな念を入れて対策を練ってくるはず。
30点に届くことはないのではと思っていました。
結果的に21-17。 4年前の17-14と同じようなスコアになりました。
NEとしては強力な3人のWRを要するジャイアンツオフェンスをTDパス1つに押さえたので、狙い通りの試合展開だったのですが、ジャイアンツのディフェンスが強力でした。
怪我をしていたグロンコウスキーが本調子ではなく、2キャッチ26yに終わったことも響きました。
今年のスーパーボウルで最も盛り上がったのがこのシーン。
これが決勝のタッチダウンランなのですが…………。




こんなに躊躇したタッチダウンは初めて見ましたw
このプレイを簡単に説明すると、15-17でペイトリオッツが2点リード。
残り時間03:46からジャイアンツの攻撃がスタートし、残り時間2分の時点で敵陣18yまで侵入しています。
この位置からだとフィールドゴールはほぼ確実です。それを決めると18-17で逆転できます。
しかし、この場面で最も重要なのはタイムマネジメント。
アメフトはボールデッドから40秒以内、または審判のプレイコールから25秒以内に次の攻撃を始めないと反則になります。
なので時間を目一杯つかって、試合終了直前にフィールドゴールを決めれば、相手は何もできないまま試合が終了します。
実際ジャイアンツは残り2分からランプレイをして45秒消費(1:15)、続くプレイではパスを投げ、キャッチしたレシーバーが外に押し出されたので6秒の消費(1:09)、続くプレーではランを使いますが、NEがタイムアウトを取ったので1:04で時計が止まります。
そして、ここからが問題のプレイ。
ジャイアンツは時間を使うためにランを選択しますが、NEはあえてディフェンスをせずにタッチダウンを与えます。
ここで時間をかけられたら勝利の可能性がゼロになります。それで、相手にわざと得点を与えることによって、自分たちの攻撃の番が巡ってくるようにします。
ボールを持ったブラッドショーの前には大きな穴があいていて、誰でもタッチダウンできる状況です。
しかし、ここでタッチダウンしてしまうと相手に1分ほどの時間を与えてしまうことになります。
タッチダウンをとっても、残り1分から相手にタッチダウンを決められたら負けてしまいます。
そのようなわけで、ここで止まるか、進んでタッチダウンをとるか躊躇したわけです。直前で止まろうとしたけど、勢いでエンドゾーンまで進んでしまったという感じです。
もし、このプレイのせいで負けることになったら厳しく非難されますし、ずっと後悔することになります。
結果的には残り1分を守りきることができましたし、時間を消費するためのプレイでもミスをして相手に攻撃権を与えてしまうことがありますし、確実な距離のフィールドゴールでも外してしまうということがおこりえる可能性があります。
この辺のリスクの判断は難しいものがあります。


残り1分弱からのペイトリオッツの攻撃。
大逆転を狙って必死にボールを進め、残り5秒から最後の攻撃。
エンドゾーンに向かってロングパスを投げ込みます。
これは Hail Mary Pass(ヘイルメリーパス) と言って、試合終了直前にイチかバチかで投げ込むパスです。
ヘイルメリー:マリア様お願いと祈りを込めて、運を天にまかせて投げ込みます。
当然、相手もそれがわかっているので、背の高い選手、パスキャッチの上手な選手をエンドゾーン内に集めています。
このプレーでも二人がかりでパスをブロックしています。
その弾いたボールをつかみ取ろうとしますが、あと少しというところで届きません。
取っていたら奇跡的な大逆転として語り継がれていたはずです。
もう一つの話題になっているプレイ。
先ほどのジャイアンツの逆転劇の直前のドライブ。
残り時間4:06 NYG44yからの2nd&11からのロングパス。
エースレシーバーのウェルカーはフリーでしたが、ボールをこぼしてしまいます。
ベンチメンバーもこのドロップに頭を抱えています。
これが通っていればフィールドゴールが確実な距離までボールを進めることができました。
スコアは15-17なのでフィールドゴールを決めれば15-20。
そうなるとNYGはタッチダウンを決めないと逆転できなくなります。
タッチダウンを決めればその時点で勝利がほぼ確定です。
それができなくても時間を消費してフィールドゴールをきめれば勝利が確実に近づきます。
結果的にはこのパス失敗が響いてジャイアンツに攻撃権を渡してしまい、先ほどの逆転タッチダウンランに繋がるわけです。
ブレディの妻はレシーバーが落球したから夫のチームが負けたというようなことを発言したそうですが、アメフトは計算されたチームプレイなので一人のミスのせいで負けるということはほとんどありません。いろいろな要因、高度なせめぎ合い、それまでのプレイやその時の作戦、ちょっとした歯車の食い違いが影響してきます。妻だからそう発言したわけで、プレイヤーならそのようなことは言わないはずです。


攻撃権が移ってからのジャイアンツの最初のプレイ。
QBイーライ・マニングがWRマニンガムに絶妙なパスを通します。
二人にカバーされていますが、マニンガムにしか届かない場所にしてサイドラインギリギリのところに投げ込んでいます。これが通ってハーフラインまで進み、逆転タッチダウンへと繋がります。
さらにその前のNEの攻撃シリーズではQBブレディからTEグロンコウスキーへのロングパスがインターセプトされていました。これもグロンコウスキーが万全の状態ならキャッチできていたと思うのですが……。マッチアップの相手はLBだったし。
ということで見ることができた4Qは波乱の展開で見応え十分でした。
NEとしては勝てるゲームプランで望んだのでしたが、ほんの少しの差でそれを逃してしまいます。
NYGは今回も終盤でイーライが素晴らしいプレイを見せて勝利へと導くことができました。
最初の画像にあるようにNYGはダイナスティ、王朝を築けそうな勢いはあります。
伝統的に強力なパスラッシュを誇るNYGですが、今シーズンもユメンオラが怪我から復帰することによって強力ディフェンスになり、厳しいスケジュールだった終盤を勝ち抜くことができていました。
伝統的にランアタックが得意なNYGですが、イーライの成長と強力なレシーバー陣で得点力がアップしています。
昔のイーライはディフェンスにプレッシャーをかけられると何もできず、そのせいで「妹」呼ばわりされていたのですが、今シーズンは厳しいプレッシャーをかけられてもパスを通すことができていましたし、終盤での集中力には素晴らしいものがありました。
それでもNFLはレベルが拮抗していますし、同地区にDAL、PHIという強力なチームがいて、GBとNOという現在のNFLの2トップが、そして今期躍進したSFとDETがNFCにいるので簡単にはいかないと思いますが。
第36回スーパーボウルでの勝利からNEは黄金時代を迎え、そこから4年間で3回もスーパーボウルを制したのですが、42回のまさかの敗戦から下降気味でした。今年は雪辱のチャンスだったのですが……。
NFLは成績順でドラフト順が決まり、強いチームは強いチームと当たるように翌シーズンのスケジュールが組まれます。なおかつ年俸総額が定められているので強さを維持するのは極めて困難です。
NEは優れたタレントがいなくてもシステムにあったそれなりの選手を集めてチームとしてのシステムで10年にわたって強さを維持してきたのですが、それも限界にきたという印象を受けます。
これで今シーズンも終了。
これからの話題はドラフトとFAに移ります。
ロックアウトで始まり、どうなるかと思われたシーズンでしたが、今年も楽しむことができました。
来年も好ゲーム、好プレイを楽しみにしています。
おまけ:
今年のハーフタイムショーはマドンナでしたが、競演したM.I.Aが中指を立てるという問題行為を。
さらに、不適切な言葉(Shit)を使っているようです。
http://www.youtube.com/watch?v=jW97CWfeWdY&feature=fvsr
2004年のスーパーボウルでの例のジャネットの事件以来、ハーフタイムショーは映像をチェックして、リアルタイムより遅らせて放送していたのですが、今回はそのチェックをすり抜けて放送してしまい、放送局は謝罪する羽目になってしまいました。
確かにこれはわかりにくいのですが……。
ジャネットの事件以来、ハーフタイムショーでは保守的というかベテランの問題を起こさない大人のミュージシャンばかりを起用してきたのですが、今回のハプニングによってさらに保守的になりそうです。
個人的に最高のハーフタイムショーは2002年のU2です。
911の後のスーパーボウル、そこに愛国者の意味のPatriotsの出場、911の犠牲者がスクリーンに映し出されるという演出、ジャケットの裏の星条旗を見せるというパフォーマンスが光っていました。試合も圧倒的な不利と言われていた前評判からの逆転勝利、そこからPatsの黄金期が始まっています。
U2はアイルランドのアーティストですが、IRAのテロや英国とのせめぎ合いという戦争を経験し、戦争に関係する歌をたくさん作っています。そんなU2を911の後のスーパーに起用し、期待通り、それ以上のパフォーマンスを見せてくれました。
個人的にU2のWAR、Unforgettable Fireといったアルバムが大好きなので最高でした。
- 関連記事
-
- NFL 2013 開幕! (2013/09/17)
- 2013 NFL Draft (2013/04/26)
- 第47回スーパーボウルは49ersとレイヴンズの対決に! (2013/01/22)
- NFL 2012シーズン 予想 (2012/09/02)
- 2012 NFL Draft (2012/04/27)
- 2012 NFL Mock Draft (2012/04/24)
- NFL 神の子 ティーボウ NYに行く! (2012/03/23)
- 第46回 Super Bowl New York Giants vs New England Patriots (2012/02/07)
- 第46回スーパーボウルはペイトリオッツvsジャイアンツに! (2012/01/24)
- Tebow プレイオフでも神の力で大勝利!! (2012/01/10)
- ジェローム・シンプソン 前方宙返りタッチダウン!! (2011/12/27)
- アレックス・スミス 「イエス! アスミス!」 (2011/12/09)
- 【NFL】試合中にキッカーが放尿!! (2011/11/29)
- NFL 2011シーズン 開幕!! (2011/09/09)
- 【NFL】ランディ・モス 引退 (2011/08/02)
スポンサーサイト
trackback