Another 第12話 「Stand by oneself -死者-」


「わたしが……わたしが止めなきゃ……後悔するかも、だから」
榊原くんどいて! そいつ殺せない!
極限の恐怖状態の中から12話はスタート。
さっそくシャンデリアさんが仕事をしてくれて、辻井、柿沼、渡辺、川堀が下敷きに。
逃げ遅れた有田さんも爆発に巻き込まれます。
そして何者かに刺される金木。包丁を投げている感じです。
BBAではない別の殺人鬼が潜んでいるようです。
勅使河原と望月もBBAに襲われて絶体絶命のピンチ!
「ん、いやだぁぁ!」の予告ボイスはこの時の望月のものでした。
「死にたくねぇぇ!」と勅使河原も予告でのボイスを叫びます。
「尋常じゃないね」
予告ボイスで颯爽と登場しBBAを倒したのは千曳。かっこよすぎです。
この役は風見になり、友情コンビ復活なるのではと期待していたのですが。
柿沼、辻井はシャンデリアの直撃を受けながらも生きていました!!
有田も爆発で屋外に飛ばされながらも無事です。黄色のキャミはラッキーカラーだったのか。
仲間を助けることもせずにいち早く逃げようとした川堀は出口前で崩れてきた柱の直撃を受けて恐らく死亡。
OP映像での圧倒的な存在感から確実な仕事をするであろうと予想されていたシャンデリアさんでしたがそれに応えるほどの活躍はできませんでした。
「榊原くん、この子のこと覚えている?」
そしてついに風見が!!
だがしかし、金木と松井を殺したのは風見でした。
「僕は君が死者だと思うんだ」
風見の予告ボイスが。
その根拠は今年は5月から災厄が始まったので、5月にクラスに来た恒一が死者だというもの。
恒一が4月から始まっていたということを説明しても風見が信じなかったように、この疑心暗鬼に陥った状態では前回、鳴が藤岡未咲のことを説明したとしても信じてもらえたとは思えません。
「お前さえ転校してこなければゆかりは死ななかった!!」
風見が桜木さんLOVEだったことがここで確定します。
僕の将来のお嫁さんの敵!! とばかりに恒一を殺そうとする風見の魔の手から守ったのは赤沢さんでした。
鳴は殺そうとしても恒一は助ける。これが赤沢さんです。
赤沢さんにやられた風見も死亡が確認。
「見崎はまだ中にいる」
そんなメンタルがゼロになりそうな状況でも、恒一は鳴を捜しに火の燃える合宿所に突撃します。
死者である鳴を殺して災厄を止める。それが恒一を助ける唯一の方法と考えている赤沢さんですが、それが間違っていることをしっている恒一は鳴を守ろうとします。
こんなにも恒一くんのために頑張っているのに……
それでも伝わらない気持ち。
ついに赤沢さんは鳴を守るというなら一緒に殺してやろうとしますが、そこに爆発によるガラスのシャワーが。
ここで赤沢さんの回想シーン。
1年半前の恒一との出会いを思い出します。
二人とも大事な人を亡くしていたという共通点が。
それで親しくなったわけか。
だが、赤沢さん散る……
鳴の邪気眼にも死の色が……
気がつくと鳴の姿がありません。
最大のライバルである赤沢さんが死亡することによってついに本気を出したように見える鳴でした。
鳴は「わたしが止めにゆくと」
追いつくとツルハシを持っていて死者を殺そうとする鳴。
その死者の正体は……
三神先生にして怜子さん。
家では恒一の母の理津子さんの妹の怜子さん、学校では3年3組の副担任にして美術部の顧問である三神先生です。
4月に教室の机は足りていました。それは死者が怜子さんだったから。
増えていたのは職員室の机だったのです。
それを聞いていろいろなことに思い当たる恒一。
ここまでの伏線が回収されてゆきます。
でも愛する鳴に人殺しをさせるわけにはいかない。
その役割を自分で果たそうとする恒一。
しかし、それで本当にいいのか、もし間違っていたらと逡巡する恒一。
鳴の言葉、死者の色を見ることができるというその能力に対する絶対的な信頼がないと取れない行動です。
怜子さんを自分の手にかける……その決断のショックで気胸が再発する恒一。
「さよなら、お母さん」
その恒一の言葉に母である理津子さんにそっくりな怜子さんに、自分の母親の姿を重ねていたことがわかります。
生まれたときには母を失っていた恒一にとって、ここでの怜子さんとの時間はかけがえのないものでした。
退院して怜子さんの墓参りに。
そこには鳴も来ていました。
結局、合宿での犠牲者は10名に。
王子、小椋、杉浦、川堀、金木、松井、赤沢、風見に加えて管理人夫妻。
管理人夫妻は高林君の母方の家で、高林の死以降精神状態が不安定だったと。
怜子さんは10/29に通り魔に刺されて死亡。
2年前に亡くなった赤沢和馬は赤沢さんの従姉妹。
兄弟同然に育ったと。それで「お兄」だったのか
望月の目には見えていない写真の怜子さん。
現象の影響は写真に作用するのではなくそれを見る人の方に改竄をもたらします。
すべて終わることによって、この年のことは忘れてゆく、あの合宿のことも……
恒一からの観覧車の誘いを断ったのはそこが藤岡未咲との思い出の場所だからですね。
詳細は0巻で明らかになるはずです。
となると、藤岡未咲>>榊原恒一というのが鳴の中での重要度。
完全には恒一に陥落していないのか!
「終わったんだよね」
その恒一の問いに笑顔で頷く鳴。
最後までこのことを覚えているのは、死者と最後まで深く関わった鳴と恒一。
その絆がこれからも二人を結びつけるものとなってゆきそうです。
勅使河原と望月は災厄を止める方法をMDに吹き込んで教室に隠します。
MDならワカメの心配はありません。ちゃんと考えて周りの友達と心配してという台詞を吹き込んだり、今回のことから教訓を学んでいます。
毎年デッドマンハンターとして鳴が3年3組に行ってあげればいいような気もしますが。
ネタバレ記事でも書いていましたが、アニメ放送後に、プロダクションエースのサイトから怜子さん役の声優さんの姿が消えていました。
こういう仕掛けも含めて、プロダクションエース協力でした。
さて、12話の感想ですが少し厳しめの評価になります。
1-11話までは最高に楽しむことができていました。
原作既読組でしたが、それでも楽しむことができる丁寧な造りをしていて、作画だけではなくシナリオも演出も見事でしたし、所々に加えている改変も物語を面白くしていました。
一番大きな改変は8話での水着回というオリジナル展開を付け加えたことでしたが、そこでの中尾の死を11話で上手に生かした展開にしていました。
11話ではそうしたしっかりと伏線を示した上でのオリジナル展開をプラスし、原作ではそれほど盛り上がらず、もう少し書き込んで欲しかったと不満要素となった合宿を、ハリウッド映画のクライマックスシーンのように手に汗握る展開にしてくれていました。
11話で暴走して鳴を殺そうとした小椋と杉浦もその背景をこれまで描いていてある程度キャラに感情移入できるようになっていたので、あのアニメオリジナルの展開が生きてきていました。
しかし、12話ではそうしたこれまでの積み重ねを無視したかのような理不尽な展開に首をかしげたくなります。
川堀はシャンデリアの落下に巻き込まれても致命傷を負わず、何とか逃げだそうとしますが、出口付近で崩れてきた柱の下敷きになって死亡します。
なんのために川堀を殺すことにしたのかがわかりません。
助かったと思った瞬間の不幸な死というのはホラー映画などではよくある展開です。
でもこういう目にあうのは大抵悪役、死んで当然のキャラということが多いです。
ここまでアニメではクラスメイトたちの描写に力を入れてきて、クラスメイト全員に名前や住所を与え、単なるモブキャラではなく、クラスメイトとして描いてきていました。
それが功を奏して原作では名前が登場しなかったキャラでも人気を博しています。
視聴者がそこまで注目してくれるように力を入れてたくさんのキャラを動かしてきたのに、それを無駄にしてしまったような気がします。
風見にしてもずっと出番がなく、今回唐突に殺人鬼になります。
よく見ている人であれば、風見が桜木さんを好きだったことがわかるとは思うのですが、一般視聴者にそのことをはっきりと示す台詞も演出も入れずに、桜木さんのカタキ的な展開は無理がありすぎです。
それに殺したのは無関係の金木・松井組。ただの無差別殺人です。
凶化した管理人のおばさんですら、直接生徒を手にかけて殺してはいないというのに、クラス委員長がクラスメイトをなんのためらいもなく殺す……。なぜこの二人を殺す必要があったのかが見えてきません。
人気のあった金木・松井組ですが、なぜ彼女たちが死ななければならなかったのか、それも描いていませんでした。
殺すなら殺すでもっとふさわしい死なせ方があったはずです。なぜショッキングでグロテスクなものにする必要があったのか。その理由というものを描いてきていません。
原作では助かったのに風見は死亡していました。
助かることにすると、クラスメイトを殺してしまったことに対する責任ということが出てくるので、それだけのためにシナリオの都合で死亡することにしたという印象をどうしても感じてしまいます。
これまでクラスメイトの人間関係やキャラの行動などを丁寧に描いてきていたのに、最終回ではB級映画、安いホラー映画的な展開になってしまったのは残念です。
アニメで非常に魅力的に描いてきてくれた赤沢さんも死亡します。
これについてもなんのために殺したのか問い詰めたくなりますが、この点については多くの人が語っていると思うので割愛します。
個人的に今期のMVPは赤沢さんでした。
エグゼクティブ・プロデューサーの井上さんが言っているように、赤沢さんのキツイ台詞と蔑むような眼差しが最高でした。何かに目覚めてしまいそうでした。
赤沢さんは鳴を殺そうとしていましたが、それは死者を殺すことによって恒一を守りたいという願いが一番にきていました。
そのため千曳に対してシャウトしたように死地にとどまり状況を動かそうとしていました。それだけの覚悟があったのです。
個人的な恨みや敵ということからではなくて救うために行動していた。
でもその思いも行動もすべて無駄になり死を遂げることになります。
悲劇のヒロインは死ななければならないのか……
赤沢さんの死は杭につけられたキリストのような死に様でした。
でもそれは誰を救うものとはなりませんでした。
そのようにして無理に衝撃的な展開を押し込んだことによって、メインディッシュである「死者を殺す」ということの重みが薄れてしまった感がします。
11話は見たときには付け加えられたオリジナル展開が素晴らしく思えたのですが、こうして12話を見るとシンプルな原作バージョンの方が、死者の正体を知るときの衝撃と、自分の手で災厄を止める。それも恒一が怜子さんを手にかけるという意味の重さがより伝わって来ていたような感じがします。
この辺は登場人物を多くしてしまったことの弊害と言えそうです。
そうすることによってこれまで最高に楽しむことができてきたのですが、最後の所でホラー作品や衝撃の結末というキャッチコピーゆえにもバランスの取り方が難しかったのか。
事件が起きて犯人やトリックやその動機を明かしてゆくという正当派ミステリー作品なら作りやすいのですが、Anotherとはそうした手法とは違う方法がとられています。
3年3組で異常なことが起きている。
まず何が起きているのか。
そして、なぜそんなことをしているのかということが前半のテーマになっています。
後半ではそれをどうやって止めるのかという話になり、その鍵を握る死者が誰なのかということが明かされてゆきます。
異常状態がずっと続いているわけなので、緊張感、ホラーらしさを出し続ける必要がありますし、死者が犯人と言えるものでもなく、真の敵といえるものは夜見山で起きている現象です。
本だとそういう異常状態が文章という限られた情報で伝えられることによって、怖さや謎を引き出してくれるのですが、映像をつけるとなるとその怖さや謎を伝えるのには工夫が必要になってきます。それにAnotherでは叙述トリックも使われているし……。
その題材の難しさを考えると良い仕事をしていたと思います。
最終話まで盛り上げてゆくことができていました。
最後の着地点をもう少し何とかできていれば、もっと高い評価を得ていたと思うのですが……。
B級映画感やスプラッター展開が裏目に出たような気がします。
そういえば勅使河原が前回誰に前島を預けたのかも明確にはされなかったし。
ここに来て色々と細かい粗が目立ってしまった気がします。
そしてP.A.WORKSはここまで上手に視聴者を騙してきていました。
色々と欺くための仕掛けを予告に入れてきていて、深読みさせてミスリードさせるための情報も仕込んできていました。原作を読んでいても理解できないOPのカットがあったほどです。
そして、最終話では怜子さんを殺したのが通り魔であるというアニメオリジナルの仕掛けを。
この通り魔が恒一に似ているように見えます。
「三神先生が殺されるところを1年半前に見たの」という台詞を鳴に言わせ、恒一が1年半前に夜見山に来ていたということを父からの電話や赤沢さんに言わせることによって、恒一が怜子さんを殺した通り魔であるかのようにミスリードさせようとしています。
なおかつ神戸連続児童殺害事件の酒鬼薔薇は「ボクには一人の人間を二度殺す能力が備わっている」という文書を犯行声明に書いています。榊原くんが怜子さんを2度殺した……という仮説にぴったり合いそうです。
しかし、恒一が1年半前に夜見山に来ていたのは怜子さんの葬儀のため。
中学生が遠く離れた夜見山まで出張して連続殺人をしていたということはまず考えられませんし、犯罪学的にも前例がありません。
では、あの通り魔は誰なのか。
そのヒントは通り魔殺人が昨年度の数倍のペースという新聞の記事です。
昨年と今年の違いは昨年は「ない年」でしたが、今年は「ある年」であるという点です。
三神怜子先生を殺害した人物も夜見山の生徒のような服装をしていました。
災厄の影響が二等親まで及ぶこと、今回の合宿で高林君の祖母にあたるBBAが凶化し、久保寺先生も死に引き込まれて異常な行動を取っていました。
このことを考えると通り魔は夜見山市の現象によって異常をきたした人物、3年3組の生徒かその二等親以内の人物であると考えられます。
三神先生が亡くなったのは10/29。
1/29にも他殺で亡くなっている生徒がいます。これも同じ通り魔によるものかもしれません。
(赤沢和馬は10/1に死亡しているので、彼が三神先生を殺したということはあり得ません)
では今年急増している通り魔とは……
これも今年の現象が関係していると思うのですが、3年3組のクラスメイトとその二等親以内で夜見山市に在住の者となると、それなりの数になるので特定は難しいです。いずれにしても早い段階から恐らく4月から暗躍していたのでは。
まさか風見が桜木さんが亡くなったショックで凶化して通り魔に……
それでアニメでは登場がなくなり、勅使河原が問い詰めたときも様子が変だったのもそのことを問い詰められていると思ったから、合宿でも凶行に及んだのも通り魔の延長……という仮説も成り立ちますが……
(新聞の記事は5/18ですが、桜木さんの死は5/26です)
とにかく夜見山は怖いところです。
クラスに美少女とイケメンが揃っていても、3年3組になってしまい災厄が始まったら、死亡フラグを立てずにすぐに逃げ出すのが正しいのか。
アニメではAnotherという原作を上手に手を加えていて、3年3組を魅力ある場所にしていました。
災厄のない普通のクラスをスピンオフで見たかったと思うほどです。
ぜひ災厄を止めて無事に卒業するというIFストーリーを加えたゲーム版を出して欲しいです。
あれだけ魅力的なクラスメイトたちを登場させてくれたのですから、ゲームで攻略できるようにして欲しいです。
(舞台が中学校なので全年齢版になるとは思いますが)
最後になって色々と文句も書いて(これだけ書いてしまうのも作品に入れ込んでいたからなのですが)しまいましたが、この3ヶ月間大変楽しんでこの作品を見ていました。
さすがPAという作画でしたし、音響面が過去のどのアニメにも勝てるほどの素晴らしさでした。
オリジナル作品が多いPAですが、原作付きをやっても面白いということがわかりました。
また綾辻作品をアニメ化するのも面白いと思います。今回のアニメ化で綾辻さんのファン層も広がったのではないでしょうか。
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緋色の囁きあたりをアニメ化したら面白いのではないでしょうか。
恒例の今日のまとめ:

恒一くん、いま助けてあげるから!
風見なんか殺っちゃえ~

ついに決着をつける時が来たわ
見崎を殺して災厄を止め、わたしが恒一くんのお嫁さんになる!

あれ、わたし死んじゃうの……
せめて恒一くんの腕の中で恒一くんの想い出を抱いて逝きたい……

ゴメン、覚えていないんだ
まったく、ヤになっちゃう。こんな時にもツンデレるなんて……

わたしたち、幸せになりましょう
(もうあの女のことは忘れたみたいね)
……あれ涙が。赤沢さんが幸せになれるルートをゲームなどで補完して欲しいものです。
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