氷菓 第4話 「栄光ある古典部の昔日」

「でも……。だったらわたしは,どうして泣いたのでしょうか?」
当時の千反田の叔父に何があったのか?!
その謎を探るために摩耶花と里志も仲間に。
各自資料捜しをして千反田家で発表会を。
里志との待ち合わせ場所は学校から待ち合わせ場所に変更されていました。
奉太郎は資料を持ち寄るだけだと思っていたようですが,各自自説を発表することに。
豪農と呼ばれるだけあって立派なお屋敷です。
里志は使用人が出てこなくて残念な表情を。
資料の配付と報告,それについての質問,報告者の仮説,仮説の検討という流れで検討することに。
この推理の仕方が「氷菓」と「愚者のエンドロール」の特徴になっています。
千反田の資料は氷菓第二号の序文。
そこから考えられること。
千反田の内面世界。白黒のシンプルなもの。水墨画風で古式なイメージです。
叔父は文化祭荒らしに暴力で対抗して英雄に。その責任を取って退学したという推理を。
叔父が退学した1967年の時代性を考えるとそれは無いと千反田説は否定。
坂道のアポロンの舞台が1968年なので,当時を知る参考になるかもしれません。
里志の怪しげな筆箱が気になったので調べたらありました。摩耶花の私服が可愛い。
http://item.rakuten.co.jp/lapiz/upp7601/
続いて摩耶花説。
摩耶花の資料。6月に何かがあったことが。
漫研だけあって,推理シーンも漫画チックです。
関谷は6月の闘争で先生側に暴力を。そのせいで退学と仮説。
でも事件は6月,退学は10月というズレが。
おにぎりを作るオリジナルシーンが!
新婚夫婦に見えてしまいます。
おにぎりをジト目で見つめる摩耶花。
料理は苦手みたいですね。
里志の資料は壁新聞。
暴力は無かったこと,全生徒が関係したことが明らかに。
奉太郎の資料は神山高校50年の歩み。絵のモデルになっていたものです。
資料を持ってきただけで済まそうと思っていた奉太郎。
仮説や推理は他人任せにするつもりでした。
たまたま見てしまった千反田の部屋で真剣に調べていることを知ってしまう奉太郎。
それで,真剣に考えることにします。
ここは良い改変ですね。省エネ主義の奉太郎が千反田のために動く動機付けになっています。
灰色を好む奉太郎と灰色の雲が雨を降らせる演出もぴったりでした。
考えることを決めたら明るい色に。灰色から薔薇色にシフトしたことを示しています。薔薇の模様も描かれていました。
奉太郎の出した結論。
事件は文化祭に関係。
6月に文化祭を考える会が発足し,文化祭の縮小計画が。それに対抗して生徒が立ち上がります。
関谷の指導によって生徒が団結し,学校側は縮小を断念。でもけじめとして関谷に責任を取らせることに。
辻褄のあった納得の行く推理です。
空からも光が差してきていて,問題が解決したように見えます。
でも,まだ雨は降っている……
すべてが解決したわけではありません。
「でも……。だったらわたしは,どうして泣いたのでしょうか?」
問題のスタート地点の件がまだわかっていません。
葉っぱの上を流れる水滴が千反田の涙を象徴しています。
次回は歴史ある古典部の真実。
鍵になる推理部分ですが,予想よりも早足で進めていました。
原作未読者は話についてゆくのが大変だったのではないでしょうか。
ここまでの部分でヒントはすべて登場しています。
断片的な情報に結論まで導くためのヒントが示されているというフェアな手法がとられています。
でも事件は過去の古典部に起きたものという限定的なものですし,聞き込みをしたり現場を調べたりといった一般ミステリー的な展開を使わずに,内輪で話し合って解決しようとするところにこのシリーズの面白さがあります。
映像になることによって千反田家を見ることができたのが大きな収穫です。
おにぎりを作る千反田が可愛かったし。
こうしたカットにあったように千反田の可愛さを全面に出してきている感じです。
氷菓の謎も千反田の個人的なものですし,物語の中心にいるのは千反田という感じですね。
http://www.kamoltd.co.jp/kakegawa/
千反田家のモデルは掛川の加茂花菖蒲園のようです。
クレジットでもスペシャルサンクスとして表記されていました。
http://menehunephoto.blog.shinobi.jp/Entry/727/
実際に行ってきた人のブログ記事です。
千反田家に登場したコレも写真に写っています。
追記:千反田のおにぎり考察
おにぎりが話題になっているようです。千反田の海苔の巻き方が独特だと。
上の方にしか海苔を巻いていません。食べるときも海苔部分を掴んでいませんでした。
調べてみたのですが,わたしの検索能力では千反田スタイルの巻き方を見つけることはできませんでした。
wikipediaのおにぎりの項目を見ると,「側面一週に巻く方法」があると。
http://www.geocities.co.jp/Berkeley-Labo/1381/onigiri/onigiri.html
側面に海苔という巻き方があることが報告されていました。
http://www1.kepco.co.jp/e-patio/category/living/1270775837/print
視覚的な効果のために横に巻くこともあるようです。
http://blogs.yahoo.co.jp/shincyan0407/33878234.html
このブログではお店で出されたおにぎりがこの巻き方だったと。
中国地方独特の巻き方なのかもしれません。
調べてみたところ,海苔の量が少ないのは,お米の味を生かすためのようです。
お米が主役で海苔は脇役。
千反田家で作ったお米ということだったので,そのお米の味を楽しんでもらうために海苔を少なめにしたのでは。
あの巻き方には視覚的な効果もありました。
千反田は具が見えるようにするためにあの巻き方をしたことが考えられます。
千反田が作ったのは梅と昆布と高菜の3種類のおにぎりでした。
中身が一目でわかるように海苔を側面に巻いたものと思われます。
千反田なりの気遣いなのでしょう。
なぜ側面を一周しないで上部だけ巻いたのか。
この巻き方だと持ちにくくご飯が手についてしまいます。
これは恐らくこの巻き方だと海苔が家の屋根みたいで可愛いという,お嬢様ならではの美意識が関係しているのではないでしょうか。
食べやすさよりも見た目の可愛らしさを重視する。千反田の乙女心がそうさせたのか。
高山の近くにあり世界遺産にも登録されている白川郷は三角屋根,合掌造りで有名です。
または,誰もこの巻き方に突っ込んでいなかったので,この地域ではメジャーな巻き方なのかもしれません。
摩耶花がおにぎりを睨んでいたのは,突っ込みを入れたかったからではなくて,千反田の手作りを美味しそうに食べる里志へのジェラシー&手慣れた感じで料理をつくる千反田への複雑な思いが関係していると思います。
今後この海苔の巻き方は千反田巻きとして有名になるのか?!
おにぎり界に新たな風をもたらすとは豪農千反田恐るべし
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わたしもアニメ化と聞いて原作をまとめ買いしたのですが,先に読んでおいて正解だったと思っています。
奉太郎が答えを導き出す過程に面白さが詰まっていますし,これまで得た情報を基にして推論するスタイルなのでどうしても情報量が多くなってしまうのですが,それをアニメならではの見せ方や映像効果を楽しむことができています。
次は「愚者のエンドロール」の後に書かれ,古典部シリーズになる予定だったという「さよなら妖精」を読んでみようかと思っているところです。