三上延 「ビブリア古書堂の事件手帖 2」 感想
![]() | ビブリア古書堂の事件手帖 2 栞子さんと謎めく日常 (メディアワークス文庫) (2011/10/25) 三上 延 商品詳細を見る |
今日,3巻を買ってきました。平積みにされていましたが,店頭の一番目立つところには置かれず,レーベル作品が置かれているところにありました。
その前にまずは2巻です。1巻は「栞子さんと奇妙な客人たち」というサブタイトルがつけられていましたが,2巻では「栞子さんと謎めく日常」で,「栞子さんと……」で統一されることになりそうですね。
2巻ですが,1巻よりも面白くなっています。
1巻ではミステリーを意識しすぎていた感がありましたが,2巻ではこの作品の持ち味である,本に込められた想いや隠されている気持ちにより焦点が当てられるようになってきています。1巻では4章構成でそれぞれが起承転結になっていましたが, 2巻では3章構成になり,よりじっくりと一つ一つの話を語れるようになっている感じがします。
ネタバレ含みそうなので残りは追記で:
1巻で書いたメモオフでのモデルになっていると言われている公文堂ですが,あとがきで公文堂に取材に協力してもらったと書いてありました。
http://www.kohbundo.com/top.htm
公文堂書店のHP
創業昭和15年の老舗でブログを見ると古い本が登場しています。
そして北鎌倉を舞台に選んだのは作者がそこの県立高校に通っていたからと。
となると,鎌倉学園ですね。ということは栞子さんの学校は鎌倉女学院ではないかと予想しておきます。
2巻での新たな登場人物:
小菅結衣:小菅奈緒の妹,中一。奈緒はレギュラーメンバーになりそうです。キツイ感じだと思っていたのですが意外に妹思いです。
高坂晶穂:大輔と同じ高校で後に彼女に。1巻での言動から大輔はDTに違いないと思っていたのですが,まさかの彼女持ちでした。
2巻での展開:
2巻でも読んだことがない本ばかりが登場。作者との本の方向性は被らなそうです。それでも作中でわかりやすく説明してくれるので知らない本でも楽しめます。
第一話で登場する「時計仕掛けのオレンジ」は名前だけは聞いたことがありましたが,こんな内容の本を小四で読んでいたとは栞子さん恐ろしい子です。感想文のレベルも高いし。
小菅奈緒も妹思いなのですが,栞子さんも妹とハグするような関係というのは意外でした。
この二組の姉妹の関係が似ていないようでよく似ているというのが面白いです。それだけに栞子さんは結衣に対して温情のある措置を取っていました。
第二話では晶穂の存在が光っています。ようやくつきあい始めたのにすれ違うことになり別れることになる切なさがたまりません。大輔と栞子の仲を応援するようなことを言っていましたが,今後も登場してくるのではないでしょうか。
ここでも晶穂と姉の関係,一見しただけではわからない繋がりが描かれています。
そして,第三話ではこれまで語られていなかった栞子さんの母のことが。
母を知るお客さんの口から語られるその姿は栞子さんとそっくりです。
確執があり憎みながらも母が本に残した気持ちを知ろうとしている栞子さん。
母はラスボス的な立ち位置になりそうな気がします。
大輔と栞子さんの関係:
栞子さんは大輔のことを少しずつ異性として意識するようになってきています。
第一話では自分の感想文のことで「これではどんな大人になるのか」という大輔の言葉に傷ついています。
第二話では二人で買い取りに出かけるのを楽しみにしていて熱があるのにそのまま向かってしまっていました。
晶穂が大輔のことを「大輔くん」と呼ぶのを聞いて,自分もそう呼ぼうとするし。恋愛耐性のない栞子さんが可愛すぎました。
そっち方面は素人同然なので晶穂のことで嫉妬したりすることもまだ思いつかないようです。そういう姿も見てみたいですが。
第三話では妹から禁句であると言われたお母さんのことを大輔には話していました。
母が行ったことに嫌悪感を感じながらも,自分も同じようなことをしていることに栞子さんは気づいてしまいます。
それゆえに自分は結婚するつもりはないと言う栞子さんですが,大輔には心を許し母のことも話しています。自分の恋愛感情に気がついたときの栞子さんが見物です。
そして,ラストでは休日に二人で出かけることになっていました。
今後の二人の関係に目が離せません。
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