氷菓 第10話 「万人の死角」

「やはり私の目に狂いはなかったようだ。君には技術があった。他の誰にもない力が」
君は特別よ
入須先輩にお茶に誘われる奉太郎。
居心地悪そうにしています。高校生が出入りするような店ではありません。高級志向です。この時点で入須先輩のペースになっています。
2Fの3人の意見を葬る奉太郎。それは入須先輩の思った通りの展開。
この3人の案では満足できる出来にはならない。
それで映画を成功させるために先輩は奉太郎を使います。
奉太郎を探偵役として最も映画として面白い結論を引き出させようと持ち上げます。
「君は特別よ」という入須先輩の言葉にすっかり乗せられる奉太郎。
薔薇色モードに。画面にも薔薇色のフィルターがかけられます。
千反田との喫茶店の時と同じような状態に。
可愛い女の子から助けを求められ,奉太郎ならできると持ち上げられると省エネモードはどこかにいってしまいます。
入須先輩の補欠の話や里志との才能の話は次巻の「クドリャフカの順番」のテーマにもなっています。
シャーロキアンに憧れる里志ですが,すぐ側にいる奉太郎はその気になればホームズのような推理力を発揮できる存在。奉太郎を認めているからこそそこには憧れと共に複雑な気持ちも抱いています。
「さては入須先輩に何か垂らしこまれたわね」
さすが摩耶花鋭い。実にいい目をしています。
そして摩耶花が指摘するカメラワークの不自然さ。マンガを描いているだけあってカット割りにも通じています。
結論を導き出そうとする奉太郎ですが,背景は薔薇色。入須先輩の言葉の影響を受けていることが示されています。
そして辿り着く本郷の真意。
自分の答えを入須先輩に伝えます。
犯人はドアから入り込むしか道がない。それでマスターキーが必要。でもロビーには人目が。
だから,あの場には七人目がいたと。
映像には懐中電灯の光が。照らしていた誰かがいます。
演出,カメラワークの悪さもトリックの一部,カメラマンを意識させるためのものと。
でもこの奉太郎案もトリック的に問題があります。
7人目の犯行はすぐに他の6人に気がつかれてしまいます。
「別にいいでしょう,それくらい」
それをこの沢木口の言葉で片付ける奉太郎。
本格推理物としては見逃すことができない問題点ですが,観客を騙すためのお芝居みたいなもの,叙述トリックの一部と考えれば問題ないと主張します。
奉太郎の応えに大満足の入須先輩。
ご褒美の握手を。
奉太郎もホームランを打った気分でいます。
そして始まる新学期。
金曜日の昼に奉太郎が解決し,土曜の夜までに脚本が書かれ,日曜日の夜に撮影が完了し,月曜日が新学期です。
沢木口先輩どっから現れたんだ……
ここで触っていたから脇汗発言が。
クラスには制服姿のキャストたちが。
奉太郎案は2Fには好評です。
沢木口は犯行がばれた七人目が凶化することを望んでいたみたいですが。
しかし,舌打ちする羽場。
叙述トリックはフェアじゃないという声が本格推理派から上がることがあります。
ヴァン・ダインの二十則もクリスティの叙述トリックが問題視された後に作られています。
「折木さん,わたし……えっと……あとでです」
ここでメインヒロイン登場! 明らかに奉太郎案に納得していません。
摩耶花からダメだしが。
ザイルのことはどうなったのかと。
会心のホームランを打ったつもりでいた奉太郎ですが,灰色に叩き落とされます。
クラスには可愛い女の子たちもいたのですが,なぜ出演させなかったのか。
次回は「愚者のエンドロール」
解決編の奉太郎案はトリック的にこれまで自分が否定していた案ですし,叙述トリックというアンフェアなもの。
そこだけにスポットを当てると,そんな答えでいいのか……となってしまうのですが,その過程をじっくりと見せ女帝に垂らしこまれる奉太郎の姿を印象づけていました。
あの入須先輩が相手なら健全な男子高校生は誰でも簡単に手の上で踊らされてしまいます。
そんな普通の高校生としての奉太郎,探偵として敗北する姿を描いていました。
奉太郎にとってのターニングポイントになる回でもあります。
入須先輩によって自分の技術,能力について意識するようになる奉太郎です。
それで得意の推理力を披露しようとするのですが,その答えは入須先輩には褒められても,古典部メンバーからは受け入れられません。
入須先輩が望んでいる答えと,古典部メンバーが知ろうとしている本郷の真意が異なっているからです。
「これが本郷の真意だ」と言っていたように,本郷の真意を捜していた奉太郎ですが,実際は入須先輩によって今の状態から答えを出すことができる最も納得ができ映画としても面白い結末を考えさせられていました。
話を聞くだけとおびき出し,没にするつもりでいた案を聞かせ,君なら真実を見つけることができるとおだてて推理をさせます。
結果として奉太郎は先輩が望むとおりの答えを出してきます。先輩の目に狂いはありませんでした。
でもそれは本当に本郷の真意だったのか?
本郷のことをいつも気にいしていた千反田が側にいなかったこともあって,奉太郎の視野は狭められています。
入須先輩の手の上で踊らされ,知らず知らずのうちに先輩が望みそうな結論を出すことを前提にして推理していました。
それで素人ならではのミス,手際の悪さに意味を持たせトリックにするという奉太郎案は斬新で面白く入須先輩も納得します。
7人目の話を最初に聞いたとき,先輩は怪訝そうな顔をしていましたが,次第に表情が柔らかくなっていきました。
入須先輩にチャームドをかけられたような状態になっていた奉太郎ですが,古典部メンバーからヒントをもらうことによって目が覚め,捜していた本郷の真意,書こうとしていたシナリオを知ろうとすることになります。
こうして挫折を通して大人になってゆくわけですね。
クラス映画制作という共同作業なのですが,それぞれの思惑が絡んでいて面白いです。
それにしても入須先輩はやり手ですね。奉太郎も乗せられていました。学校には忠実な僕がたくさんいそうですが,先輩のことなので技術のある人しか相手にしなそうですが……。
完成版「万人の死角」を見てみたいですね。
特典でつけて欲しいです。
おまけ:
http://www.wdo-kao.jp/katute01.html
作中に登場した「喫茶一二三」のモデルは「喫茶去かつて」です。
リアル沢木口先輩の髪型
追記:
さっそく行ってきたスレ住民が
464:風の谷の名無しさん@実況は実況板で:2012/06/26(火) 20:40:18.46 ID:9auWuaPS0
とりあえずイリス先輩に誘われたのでお茶してきました
10日ほど前に高山に行ったばかりなのにまたに行くことになるとは…

人通りの多い古い町並みのお店

外観はほぼ一致 2話で出てきた喫茶店と数十m程度の距離

テーブルと小さい行灯がほぼ一致

別アングル

一階のテーブル席は1つのみ

カウンター席

2階からの眺め 2階には小さめのテーブル席がいくつかありました

お茶をいただく
お店の方と10話放送直後から来てくださるお客さんが増えたとか
いろいろお話が聞けて楽しかったです
二人が注文しているメニューはこのお店のものではないようです
472:風の谷の名無しさん@実況は実況板で:2012/06/26(火) 20:43:07.54 ID:mwysxjMBP
>>464
雰囲気いいなぁ
474:風の谷の名無しさん@実況は実況板で:2012/06/26(火) 20:43:52.38 ID:YGQmN7HQ0
>>464
おお乙
凄いきれいな所だな
やっぱりお茶とかのメニューは高い系??
476:風の谷の名無しさん@実況は実況板で:2012/06/26(火) 20:44:12.90 ID:JviLTXlQ0
>>464
このカウンターくつろげる気がしない
479:風の谷の名無しさん@実況は実況板で:2012/06/26(火) 20:46:04.72 ID:Ku+cZ6Nw0
>>464
これは行きたい
480:風の谷の名無しさん@実況は実況板で:2012/06/26(火) 20:46:24.86 ID:NyLUmsBM0
>>464
女帝のおっぱいはどこだよ
481:風の谷の名無しさん@実況は実況板で:2012/06/26(火) 20:46:58.15 ID:+oTw/kPs0
>>464
5時閉店か・・・店先の看板おいしそうなもの羅列して書かれてるけど価格無いと入りにくそう
個人的にw
484:風の谷の名無しさん@実況は実況板で:2012/06/26(火) 20:49:34.66 ID:DMIyXRfX0
>>464
洒落てるなぁ
こういう所ないから羨ましい
485:風の谷の名無しさん@実況は実況板で:2012/06/26(火) 20:49:42.31 ID:bjTwVvJV0
>>464
高校生二人で入るのは難易度高そうだなw
489:風の谷の名無しさん@実況は実況板で:2012/06/26(火) 20:52:36.94 ID:lcMMsfQYO
>>464
なんか古風な感じでいいなってか高校生で此処に入る女帝は大物だなw
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