リトルバスターズ! 考察 4 来ヶ谷 唯湖
![]() | リトルバスターズ!エクスタシー ピローケース B:来ヶ谷唯湖 (2008/10/01) トイズ・プランニング 商品詳細を見る |
姉御,リズベス,ゆいちゃんこと来ヶ谷唯湖です。
クールで有能でナイスバディです。Sに見えながらも,攻められるのに弱いです。
本作での一番のお気に入りキャラですが,シナリオは難解です。
ということで考察を。ネタバレ注意です。
OPで「可愛いものは好きだよ,私は」とあるように,中性的で可愛い理樹を気に入っていて,よく絡んできます。
可愛い女の子も好きで,小鞠,クド,鈴に手を出そうとします。
来ヶ谷は「どこか掴み所がなくて,常に自分のペースに他人まで巻き込む,クラスでもどこか浮いた存在」と理樹は評しています。
来ヶ谷の悩みは自分の感情が欠落していること。その理由を知りたいと思っています。
そのためこのように笑い方が変です。
それで,来ヶ谷ルートの鍵になるのが「喜怒哀楽」を認識することです。
自分の感情に気がつき,その大切さを理解することによって,終盤の来ヶ谷の行動理由を知ることができます。
そして,それを可能にした来ヶ谷のハイスペック。
クドや葉留佳は世界の秘密に気がついていない様子でしたが,来ヶ谷は早い段階から理解しているようです。
Ex:
ファーストコンタクトの時から理樹に授業をサボれと言っていました。ループ世界では出欠は意味をなしません。
「喧嘩は,どうせキミが言っても何も出来ない。数学は……まあ,気にせずともよい」
「場所によって時間が変わったり,もしかすると万物すべてに同じ時間が流れているわけでもないかもしれないのに」
こういった台詞から,初めて登場したときから既に世界がループしていることを気づいているようです。
ドアを蹴破ったときに平気で真人に罪を着せたのも,これが現実世界ではないことを知っているからでしょう。
真人や恭介が回想する,来ヶ谷の断罪やマシンガン乱射はどこかのループで発生したものでしょう。彼らはループしても記憶を維持しているので。
そのようなわけで,理樹がピアノの音を聞いて初めて放送室に行くと,来ヶ谷は「キミは死なないよ」と。
放送の曲も一ヶ月前にすでに決めていました。同じ放送スケジュールを繰り返しているのでしょう。
曲に聞き覚えがある理樹。
告白後の恭介の台詞からすると,以前のループ世界でも理樹は来ヶ谷と親しくなったことがあるようです。
その結末を知った上で恭介はこれまで動いていました。
そして「ただいまお送りした曲は……直枝理樹に捧げる奇想曲です」とアナウンスする来ヶ谷。「どうせ誰も聞いていない」と理樹に言います。
このことからすると,これは理樹だけに向けて発信されていた曲であることがわかります。
実際ラブラブになると放送はおざなりになっていました。
どのループ世界でも来ヶ谷は理樹にメッセージを送っていましたが,来ヶ谷が望むような結末はこれまで迎えることができていません。
来ヶ谷ルートの謎に理樹だけが聞こえていて,他の生徒は放送を知らないというものがあります。
それは理樹をここに引き寄せるためのものであり,そのための世界の改変を来ヶ谷が行っていたことが考えられます。
このことは来ヶ谷がこの世界に対してかなりの管理能力を持っていることを示しています。
数学の天才でありハイスペックな彼女のことなので,恭介とは違う独自の方法(ハッキングのような形)でこの世界にアクセスしているのでは。(そのため,世界の秘密を知っている真人にも聞こえていません)その鍵になっているのが「音」ではないかと思うのですが。
曲紹介する理樹を見て笑っていたように,来ヶ谷はこの世界の目的である理樹を強くする過程を通して理樹によって感情を取り戻すことができるようになってきています。
ここでの時間が自分を取り戻せる場所であると考え,放送室での二人だけの小さな世界を造り出そうとしているのだと思います。(放送室にいるときの来ヶ谷は感情豊かで理樹も「放送の時だけ普通にしゃべるんだね」と行っていました)
その後の野球練習でも美魚から「なにか楽しそうにしている」と言われているように,理樹に誘われてリトバスメンバーに入ることによって,最初のクラスで浮いた存在から確実に変化しています。
恭介が虚構世界を創り出すことができたのですから,来ヶ谷もその仕組みを解析して虚構世界の中にもう一つの世界を創ることも可能だと思います。
この二重世界が来ヶ谷ルートを理解するための鍵になるのではないでしょうか。
来ヶ谷ルートに入ると起こるイベントがいじめ。
来ヶ谷と親しくなることによって来ヶ谷に対するいじめが理樹に飛び火します。
謙吾は来ヶ谷がいじめを受けていても怒りをあらわにしたり,辛そうにしている姿を見たことがないと。
感情が欠落しているからです。
このいじめを 恭介は最初は認識していませんでした。
それはいじめが現実世界でも起きていて,来ヶ谷だけが記憶していたことだからです。
理樹からの報告を受けて,恭介はリトルバスターズがターゲットになっていると勘違いします。
それで,この問題を解決させて仲間を守ることによって理樹を強くさせるために,この問題を利用したはずです。
ちなみにいじめ問題を来ヶ谷に「話す」を選ぶと,来ヶ谷は問題を自分ですぐに解決し,ルート突入できなくなります。
理樹が来ヶ谷に「話さない」ことを選ぶことによって,恭介はこれを利用して試練を与えようとしたのでは。
それで,葉留佳の中傷ビラの時と同じようにNPCを操るなどによる恭介の介入によって事態はエスカレートすることになります。
(恭介は理樹が杉並に話しかけたとき事態を把握していませんでした。恭介はいじめの犯人を知らず,犯人を動かしてではなく独自の方法で介入したはずです)
いじめの証拠音声を「この教室」だけに流していた来ヶ谷。音を伝える場所や人をコントロールすることができるようです。音響機械による操作ではなく,来ヶ谷の世界への介入によるものだと思われます。
楽しいという感情を持つことができるようになった「リトルバスターズ」に手を出すと脅すいじめグループにマジギレ。それプラス理樹に手を出していたということで激しい「怒り」の感情をも得ることができます。
理樹と一緒にいることによって感情を持っていることを認識できる来ヶ谷。
それで恭介発案のオペレーション・リトルラブラブハンターズはあっさり成功。校外デートに。
恭介は理樹を成長させるためにこの作戦を展開したみたいですが……
プレゼント作戦でEVOLネタが……ていうかリトバスが先か。
続く花火作戦で「楽」という感情に気がつくことができます。
「それは誰かと分かち合うものなんだな。自分一人では自分すら見えない」
それによって同じ感情を共有できる理樹を失いたくないという気持ちに繋がってゆきます。
でも,理樹が告白しようと決意しても繋がらなくなる携帯。
小鞠ルートでは二人の時間を邪魔されないために携帯に繋がらなくなる現象,クドルートでは大災害の中でも携帯が繋がるという現象が想いの力による世界の改変が生じていました。
しかし,来ヶ谷ルートでは良い関係になってきているのに遮断されるという拒絶が発生しています。
これは解釈が難しいところですが,乙女心の複雑さではないでしょうか。
理樹と親密になったとしても修学旅行の時が来ればリセットされてしまいます。
理樹の好感度も最初の状態に戻ってしまいます。それで理樹の自分に対する気持ちは明らかなので,これ以上進展させて失うときの傷を大きくしないようにしたのでは。
放送室で再会したときの会話からすると,無意識のうちに遮断しているようではありますが。
こう見えても直球勝負には弱いところが。
理樹の再度の熱い告白を受けて動揺していました。
理樹の告白を受けての「……花を摘んだことがあるんだ……わたしはそれを持ち帰った。けれど,それはすぐに枯れて……たまらなく後悔する」
この言葉にもループによって失われてしまう関係のことが言い表されています。
告白後の恭介たちの言葉からすると,これまでのループ世界で良い関係になったものもあるようです。
しかし,結果的には何らかの問題が発生し,理樹は傷つくことになっています。
来ヶ谷はそれを知っているので,「自分に恋はできない」と理樹を拒絶し,恭介も善意から理樹を止めようとしています。
ここでの選択肢「やっぱり……」来ヶ谷のことを諦めることを選ぶと,来ヶ谷とは最初に放送室で会ったときのような関係の状態に。
理樹は傷つくことなくここでのループ世界を終えることになります(恐らく恭介がリセットをかけたのでしょう)。来ヶ谷もそのことを十分に理解した上で理樹に接しています。
「それでも……」を選ぶと諦めない理樹。理樹の「前向き」の理解からすると,来ヶ谷は最初にあったときから諦めて欲しくなくて,前向きになるようにメッセージを送っていたということがわかります。
「キミほど私の調子を狂わせた人間はいない」
この来ヶ谷の言葉からすると,理樹が来ヶ谷ルートを選択したときだけ感情を取り戻すことができたようです。
これまで理樹のような熱い感情をぶつけられることがなかった来ヶ谷。
理樹たちと過ごすことによって感情を知ることができるようになります。
理樹によって「恋してるだとか,好きだとか」といった感情を知ることができるようになり,それを求めるようになります。
それで先に進めるようになり,恋人同士に!
しかし,その後いろいろと異変が生じるようになります。
恋人になった時に,「今度晴れた日に,喫茶店に行こう」と約束したのに,翌日から雨が降り続けます。
それで,雨が降り続けるという現象についての疑問が生じます。
天候を操作しているのは来ヶ谷なのか。
雨の日は出かけないと言っていた来ヶ谷ですが,ファーストデートの時は雨の日に喫茶店に行っています。
降り続ける雨に対して,雨はつまらんと言っているので,意識的に降らせているわけではないようです。
そして,繋がらなくなる携帯です。
来ヶ谷への連絡を諦めた後,理樹は早く明日にならないかなぁとカレンダーを見るのですが,今日が何日だったのかを認識できなくなっています。
さらに,眠ろうと目を閉じた後に聞こえてくるピアノの音と理樹が見る夢。
これらの現象の理解の鍵になるのが告白時の来ヶ谷の言葉です。
「私は何にも知らなかった。恋してるだとか,好きだとか,もな。だが今は少し……」
-それは本当に小さな願いで-
「ほんの少しだけ,かもしれないが……」
-それは少しずつ紐とかれてゆくことで-
「今は,解る気がする……」
-それをもっともっと,知りたくて-
「キミの言葉が,嬉しかったんだ……」
-恋しているとか,好きだとかを,知りたくて-
「それは,きっと……」
-だから,その先を願ってしまったのでした-
「キミが思ってることと,同じなんだって,ことだと思う」
-それがどんなことかも知らず,願ってしまったのでした-
「以上,私の偽らざる気持ちだ」
そして雨が降り始めます。
この来ヶ谷の台詞と心の中の言葉からすると,恋愛感情を知ることによって理樹との一緒に過ごせる時間を望むようになります。
しかし,世界の秘密に気がついている来ヶ谷は,まもなくループでのリセットが来ることを知っています。
それで,「その先を願ってしまいます」
これは虚構世界での永遠を望む来ヶ谷が世界に改変を加えて,事故の時点でリセットされることなく永遠に続くようにしたことを示しています。
本来この世界は理樹を強くするための世界で,そのことに同調した8人が造り出しています。
しかし,来ヶ谷はその世界の存在意義よりも,恋愛感情がもたらす幸せを優先させてしまいます。
この後,雨が降り続くのは告白の時,永遠を願ったときに雨が降っていたからで,その時の世界の状態がリピートされているからだと思います。雨はずっと同じ調子で降り続いていました。
来ヶ谷は理樹が風邪を引かないために「雨の日は外に遊びに行くのはやめよう」と言っているので,雨が降り続くようになる結末は理解しておらず,改変のタイミングが悪かっただけで,結果的にそうなってしまったのでは。雨が止まないことに不満を見せていました。
恐らく,以前にも来ヶ谷は同じことをしているはずです。
その結果何か悪いことが起きています。
それゆえに,来ヶ谷は自分に対して恋愛感情を持つようになった理樹を拒絶するようになっていました。
それで,恋人になった後も携帯が繋がらないという拒絶反応は,永遠に続く世界に理樹を巻き込んでしまったことに対する無意識下の後悔から生じているものだと思います。(恋人になった日の夜には来ヶ谷は電話をかけてきますが,これは恋人になれた嬉しさからでしょう)
理樹と一緒にいることによって感情を取り戻すことができる来ヶ谷は繰り返される世界の中で理樹を求め,音によって理樹を導こうとしています。
しかし,それと同時にそれがもたらす結果も知っているので,求めながらも拒絶するという相反する行動を取っているのではないでしょうか。
来ヶ谷による世界の改変の影響を示しているのが理樹の見る夢です。
目を閉じてしばらくするとピアノの音が聞こえてきます。
-それは,風の吹く夜だった。そして,ここはたぶん河原だ。
夜の中,風にささめく草の音が聞こえる……きがした。
本当は,僕の耳には何も聞こえてこない。
河辺にいくつかの小さな蛍の光が見えて。それがきっと,ささやかな音の中で飛び回っているんだと,そんなイメージだった。
きっと,あの草むらを駆ければ。一斉に蛍たちは舞い上がり,とても綺麗なんだと思う。
けど,僕はなぜ,開かないガラスの向こうから,それを眺めているんだろう-
以前に来ヶ谷がお見舞いに来たときにっも眠りの中に落ちてピアノの音を聞いています。
-白い。高いところに上って町を見下ろしたとき。
遠くかすむ空の向こうを見て。空気って白いんだ,と思ったことがある。
……襲い光の束が,空気の白の中に浮かんでいた。
その白の向こうに,鏡のような,波紋すら立たない湖面が見えた。
見上げれば,白い綿が振り注いでいる。
あれは雪だ。鏡面に雪は,染み込むように消えていく。
……僕の目の前のガラスは僕の息で白くなっていた-
ピアノの音は来ヶ谷が行っている世界の改変を示していて,理樹だけに聞こえる放送を使ってメッセージを送っていました。
虚構世界での永遠を造り出したように来ヶ谷はこの世界にアクセスする能力を持っています。
来ヶ谷が世界を改変していることによって,理樹は夢の中で世界が始まった場所,死の世界を垣間見ることができているようです。
最初の夢で見た「波紋すら立たない湖面」は恭介がこの世界を作り上げた時のことを示しています。
バス事故の際の死の世界で想いが重なり,共鳴することによって虚構世界が造り出されていました。
二度目の夢で見る蛍の光はバス事故の際によって失われようとしている命の光を示しています。
河原というのは生と死を分ける三途の川を示しているのでは。
理樹はこれらの風景をガラスの向こうから見ています。助かった生存者として,その死の世界とは違うところに立っています。
ピアノの音はこの世界が造り出されたところにアクセスすることと,この世界の始まりと終わりを示しているようです。
6/21を確認しようとして眠りに落ちたときに見たのが最後の夢。
-話し声が聞こえた。「みんな」が話をしている。僕も混ぜて欲しい。
……そんなことはないよ,僕は大丈夫だよ。
……「みんな」だって,そこにいるじゃないか。
……夢だったとしても,覚めることなんてないよ。
……覚めることなんてないよ。
……だったら,どうして僕はここにいるの?
この夢はバス事故後の死の世界から,虚構世界が造られる時の事を示しています。
リフレインでのラストエピソードで語られる事故の真実。
これが夢の中での「みんな」が話していることです。
「だが,おまえたちふたりだけを残して俺たちは死ぬわけにはいかなかった」
「おまえたちは弱すぎる。目覚めと共に絶望してしまう」
それに対する理樹の返答が「……そんなことはないよ,僕は大丈夫だよ」ということです。
この理樹の夢はリフレインを見ていないと解らないというのが惜しいです。
再プレイすると感動シーンなのですが,そうしないと解らないというのがもったいないです
そして繰り返される6月20日。
6/20は水曜日で告白したのが日曜日。
6/20が繰り返されることによって色々と異変が起きるようになります。
鈴にまとわりついていた猫の姿が見えなくなり,来ヶ谷も喫茶店デートのことを忘れていました。
真人はオペレーション・リトルラブラブハンターのことを忘れています。
来ヶ谷の手帖には理樹と付き合っていることや,クッキーのことなどが書かれています。
そして,降り始める雪。
みんなはそれが異常なことだとは感じていません。
これは6/20が繰り返されることによって虚構世界が壊れ始めているからです。
6/20が繰り返されるのは翌日21日がバス事故の日で再びループが始まるせいでしょう。
この世界を終わらせないために来ヶ谷は永遠を願い,同じ日を繰り返していますが,無理なことをしているので世界は壊れ始めます。そのため,そこの住人である真人や来ヶ谷にも異変が生じています。
理樹だけが正常なのは虚構世界を創り出しているメンバーではない,生者だからでしょう。
来ヶ谷の口からも今の世界の状態が自分の願いによるものであることが。
「ここはな,そういう場所なんだ。願いを叶えられる場所なんだ。そんな夢の場所なんだよ」
「キミは,私の夢の中の住人なんだ。ここは私の見ている,願いの叶う湯面なんだよ」
恭介たちの願いによってあの死の世界からこの世界が造られたように,来ヶ谷も死の世界の始まりの場所にアクセスすることによって,自分の願いを叶えていました。
「世界が回る歯車なんて,ほんの少しずれただけで……正常に動かなくなってしまうんだ」
そうすることによってこの世界を支える歯車から来ヶ谷は離脱し,自分の夢を叶えています。
-歯車がずれた瞬間は。僕と来ヶ谷さんが恋をした瞬間で。僕と来ヶ谷さんの二人だけが,イレギュラーだってことだ-
と考える理樹ですが,これは理樹の告白を受け入れて恋人同士になった時の事でしょう。
「夢は,覚めたら無くなるんだ。キミと恋したことも,キミが私に抱いている感情も……全部」
-夢は,覚めれば……静かに,忘れてしまうんだよ-
それゆえ永遠に続く世界を望み創り出しています。
でも,忘れてしまう……歯車から外れて自分の願いを叶えようとしましたが,そうすることによってこの夢の世界そのものが崩壊しようとしています。
「知らなかったんだ……悲しいってことが,辛いってことなんて……」
リトルバスターズに入って楽しさを知り,理樹によって恋愛感情を知り,願いは叶ったかのように見えましたが,最後に待っていたのは好きな人を失う辛さ。喜怒哀楽の「哀」を最後に知ることになります。
-こんな感情,知らなければよかったんだ-
そして,聞こえてくる放送。
「理樹君,まだ,伝えていなかったことが一つあったんだ。……またキミと過ごして,この気持ちを覚えていたら……その時は,きっと私から言うよ。……好きなんだって」
理樹のことを忘れてしまう前の最後の来ヶ谷の言葉。
理樹は世界が終わろうとしていることに抗い,ずっと流れている電子ピアノの音が現象に関係していると思い止めようとします。
しかし,電子ピアノには電源は入っていません。放送室の電源を切っても音は止まりません。
これは来ヶ谷が永遠を望む前から発生していた改変ですし,世界が崩壊しつつあるので,強く願ってももうそれを叶えることはできなくなっています。
そして,季節は夏。
来ヶ谷にメールの着信があります。
来ヶ谷は,この世界に取り残された,ただの想いとして残っています。
そして迎えに来る「彼」。
秋の日。
最後の放送で語ったように理樹に「好きなんだ」という気持ちを伝えます。
ここでEDを迎えますが,再プレイをすると,メールの差出人は……の後に選択肢が登場。
「その名前を覚えていない」を選ぶと
「きっとそこに行くから,待ってて」と。
これが初回時の来ヶ谷EDだったはず
「その名前を覚えている」を選ぶと秋の日の告白シーンに。
これまでとは違うEDに。学校の各シーンが。
この2つのエンディングも難解ですが,解る範囲で。
最初のエンドでは結局のところ世界は崩壊します。
「季節は,初夏」とあるように,来ヶ谷は6/20のエンドレスを脱出します。
6/20の次の日,6/21例のバス事故の日を迎えています。
しかし,もう来ヶ谷は理樹のことを覚えていません。
それで「その名前を覚えていない」を選ぶと,再びループをい繰り返すことになります。
「きっとそこにいくから,まってて」が理樹が送ったメールの本文でしょう。
これは理樹は鈴を連れてバス事故現場から逃げ,目ざめた後に送ったものでは。
理樹が病院で目ざめたときはもう夕方になっていましたが,これは現実世界とは時間の流れが違うということで片付けたいと思います。
「その名前を覚えている」を選ぶと来ヶ谷はその名前を覚えています。ループから脱出時に記憶を失っていません。
-私が還ってきたのか,「彼」が還ってきたのか-
これは現実世界のバス事故の日に戻った理樹が現実世界でみんなを生還させたことを意味しています。
それによって来ヶ谷はただの想いとして取り残されていた虚構世界から現実世界へと戻ります。
そして,「遅かったな」と現実世界で理樹と再会します。
このエンドでは6/21になっても来ヶ谷は記憶を失っていません。
それで,リフレインのエピローグでは生還後の新学期からスタートしていますが,理樹は来ヶ谷のことを全く覚えていません。来ヶ谷エンドでの世界の崩壊があったからです。
来ヶ谷はそのことについて何一つ話そうとしません。
それは約束である告白をするためでした。
秋の日に理樹を呼び出し告白します。
こうして来ヶ谷の本当の望みが叶えられることに。
虚構世界で各ヒロインと過ごした理樹ですが,理樹の愛もヒロインの愛も最も強かったのは来ヶ谷でした。
それで,現実世界での生還後も理樹は来ヶ谷と結ばれることになるのではないでしょうか。
このように来ヶ谷ルートはリフレイン後に紐解いてゆくと非常に優れた内容であることがわかります。
世界の秘密と深く関係し,虚構世界で起きていたことを補完しています。
キャラの魅力といい,シナリオといいリトバスの中でも屈指の出来です。
考察しないとその魅力が解らないというのがもったいないです。構成上仕方がないことなのですが……
次は西園美魚の考察を。
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てかリトバスのストーリーは必ずと言っていいほど号泣するねww
で片付けてしまった自分が恥ずかしい。
こんなに色々な意味が隠されていたなんて気づかなかった