リトルバスターズ! 考察 5 西園 美魚
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いつも日傘と本を持ち歩いている文学少女。
シナリオも文学的で詩的表現が多いので,難解な部分があります。
ネタバレ注意です。
「井ノ原さん×直枝さん」は美しくないですと。「棗さん×直枝さん」はお気に入りみたいですが。
美魚の未練となっているのは,かつて創り出した美鳥に対する負い目と憧れです。
しかし,美鳥が登場するのは後半で,その存在は短歌によって示唆されています。
手を叩いて白い鳩を青い空に追いやることもしていました。
白鳥は哀しからずや空の青
うみのあをにも染まらず
ただよふ
若山牧水の短歌ですが,空の青にも海の青の色にも染まらないで,ただひとり純白な姿を波の上に浮かべている白鳥の美しさと切なさをたたえています。そして空にも海にも交わることなく孤独に一人で浮いている姿に自分を重ねています。これが美魚ルートの柱となっています。
理樹は美魚が「一人であることを願っている。普遍であることを望んでいる。染まることのない,白鳥のように」と考えています。
しかし,実際には白鳥は美魚ではなく美鳥を指しています。
そのことは美鳥という名前に表れています。
美鳥をどこにも存在しない世界に置いてきてしまったことを後悔しています。
美魚はその名前からして「うみのあを」にいます。そこは一人になろうとする美魚の居場所。
「空の青」は理樹と一緒に風に乗って行く二人の世界を示しています。
でも,美鳥に対する負い目から入れ替わり,今度は自分がどこにも染まらずみなから忘れられた存在になろうとしています。日傘も世界から隠れたいという願望も示しているはずです。
消えようとする美魚。
「終わりは,いつだって海から始まるんです。わたしは白鳥になりたいと思っていた。彼女のように孤独で,気高く,美しく,誰とも交わらない存在に。そう願っていた」
その願いが,美鳥を生み出します。
ここが終わりの始まる場所であると美魚は言っています。
美魚は若山牧水の短歌によって忘れていた美鳥のことを思い出し,短歌で描かれている光景にそっくりであるこの場所で白鳥である美鳥と再会しようとしていました。
美鳥と会った後,理樹が美魚のことを忘れているのは,恭介が記憶のリセットをかけたからですね。
理樹も鞄に入っていた若山牧水の短歌から美魚のことを思い出します。
クラスのみんなも美魚と入れ替わった美鳥を受け入れているのはそのように世界を改変しているから。それは恭介をも欺くほどの巧みなものです。
でも,その改変は理樹には施されていません。
これは消えようと願いながらも,理樹だけには美鳥と自分を見分けてもらいたかったからでしょう。
風に乗り 白い翼で 君と行く
青の狭間の
常夏の島
その気持ちは美魚の書いた短歌に表れています。
「青い空と,青い海。無限に続く世界を,いつまでも進んでいきたい」
理樹と話した内容が短歌になっていました。
短歌としてのレベルよりも理樹へのメッセージ,青い空と青い海を共存したいという願いが言い表されています。
では美鳥とは何なのか。
それは美魚が創り出したもう一つの自分。
美魚を補完する役割を果たす人格を造り出しています。
一人ではなく二人で役になりきりたい……その願いがもう一人の自分を生み出していました。
一人で遊ぶ大人しい美魚を補完する役割ということで,美鳥は明るく行動的です。
表に出ている自分とは違う,内に秘めていたもう一つの自分(影)であるため,薬物治療によって美鳥を失うことにより,美魚は影を失います。
どちらの人格も大事なものであり,両方揃って本当の意味での一つの人格を構成することができます。
影がないのは自分が不完全な存在と認識しているからです。
しかし,美魚は自分のせいで美鳥を消してしまったという負い目から美鳥を表舞台に立たせてあげるため,自分は消えた美鳥のポジションに退こうとしています。本当は共存することが必要なのですが,美魚の贖罪の気持ちがそうさせています。美鳥を他の人にも認めてもらいたいと思っていました。
「一羽の鳥が,わたしのすぐ隣から飛び立つ音を聞いたのです」
短歌によって美鳥を思い出し,自分が美鳥を消してしまったことを認識することによって,自分の大事な部分が失われたことを認識し,自分が不完全な状態であることを悟ることによって影を失います。
そして,その美鳥の存在こそが「白鳥」
自分が憧れていた場所であることを理解します。
この虚構世界の永遠,無限から外れた存在になることを願います。
美魚は自分の孤独を願う思いから,自分が裏で美鳥が表というのが本来のあるべき立場だった,それで美鳥を理樹に受け入れて欲しいと思っています。
理樹は美魚を取り戻すために「うみのあを」となり,一人になろうとする美魚の居場所である海を目指します。
理樹は強い思いによって「うみのあを」となり,染まらないはずの「白鳥」に手を伸ばすことができます。
美魚は美鳥のことを消してしまったことを後悔していましたが,美鳥は思い出してくれたことを感謝しています。
美魚は自分が影でしかないことを認識していました。
それで二人はもとの一人に戻ることにします。それで影を取り戻す美魚。
自分を補完する美鳥と一つになることによって,美魚は笑顔を取り戻すことができるようになります。
そして,その二人の願いが理樹を「終わりの始まる場所」へと戻します。
「空の青」と「うみのあを」は本来交わることはありません。
でも,こうして一つになることが。
一人になろうとする「うみのあを」と,一緒に風に乗って行く「空の青」が交差します。
そして,美鳥が言っていた「裸だと,影出ないから」を確かめてみることに。
美魚と美鳥,そして理樹が「これからはずっと一緒に」
美魚は来ヶ谷と同じく世界の秘密に気がついています。
その仕組みを理解した上で,それを利用して自分の願いを叶えることができました。
失っていた自分の一部を取り戻すことにより,美魚は現実世界でも笑顔を取り戻すことができるようになります。
美魚ルートは詩的,象徴的な表現が多く,それゆえに解釈が難しくなっています。雰囲気重視のシナリオでしょうか。わたし的には文学的で結構お気に入りでした。来ヶ谷ルートの次に評価しています。
小鞠ルートをアベレージとすると,来ヶ谷,美魚ルートは優れています。しかし,クド,葉留佳,鈴(1回目)は低水準です。
どちらにしても,個別ルートはリフレインの布石であり,鈴→リフレインがリトルバスターズのすべてといっていいほどのものであり,構造的に個別ルートが理樹が強さを得るためのものでしかなく,重要度も低いので,個別ルートで判断しないことが大事ですね。
鈴&リフレインも考察しようかと思っていたのですが,あれは解説するのは野暮というものです。それに先を進めたいとプレイする時間がなくなってしまうので。
考察する点もあることはあるのですが,世界の秘密と個別ルートで起きていたことを理解すると解ると思うので……
ということで,プレイ日記を再開して,まずは佳奈多ルートに進みたいと思います。
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