劇場版 花咲くいろは HOME SWEET HOME 感想

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先行公開されている劇場版 花咲くいろは HOME SWEET HOME を見てきました。
非常に面白く見る価値がある出来でした。上映時間が60分ほどと少し短いのが難点ですが,それを補うことができるクオリティーです。
チケットを購入すると,先行特典としてP.A.WORKSのロゴが入った大きな封筒が渡されます。
封筒にはシーンや原画,動画,トレス,ペイントといった項目が書かれていて,作成された原画を入れるためのもののようです。
中にはメルさんイラストによるお花となこちのクリアファイルが2つと,原画の下書きのようなものが入っていました。
わたしがもらった原画は考ちゃんのものでした……
平日の一番最初の回ということもあって空いていたのですが,おじいちゃんおばあちゃんが何人か観に来ていたのが驚きでした。
映画のテーマは「私,もっと輝きたいんです……!」
ポスターでは緒花の横にこの文字がつけられていますが,同じことを高校生時代の皐月さんも言っていたことがわかり,四十万の女たちの物語がメインとなっています。
四十万スイ→松前皐月→松前緒花と三代に続く母と娘の物語になっているのですが,その描き方が素晴らしかったです。
男性には今ひとつわからない部分である母と娘の関係を岡田磨里さんが熱く描いています。マリーの女性ならではの感性が光っています。
内容についてはネタバレになるので追記で:
劇場版の舞台となるのはぼんぼり祭りの前で,四十万縁が婚約中。
ということでTV版でいうと学園祭の後,20話と21話の間になると思います。
喜翆荘には結名が修行に来ていて,いろいろとやらかすのですが,ひっくり返えし箱から昔の業務日誌が出てきて,そこには緒花の母,さつきさんの若い頃のことが書かれていました。
そこで過去の話を交えてながらストーリーが進んでゆきます。
過去編で描かれるのが皐月さんの若い頃の話。
母が自分と同じく「もっと輝きたい」と言っていたことを知り,同じようなことを考えもがいていたことを知ります。
これまでは遠い存在であり反面教師のように見ていた母を自分と重ねてみるようになります。
業務日誌には宿に泊まっていたカメラマンのことが書かれていて,それを読んだ緒花はそのカメラマンが自分の父であることを悟ります。
これまで語られることのなかった緒花の父が登場するのですが,イケメンです。緒花の癖毛は父譲りでした。
カメラを通して皐月の輝きを捉えていて,皐月が輝いていることを認めさせるのですが,それによって皐月はカメラマンに惚れ即行動します。
この行動力は緒花の母だけあります。でも緒花は恋愛面はgdgdでしたが……考ちゃんも回想シーンでしか登場しませんでした。
母の若い頃の物語は高三で終わり,次に登場するのは父が亡くなって赤子の緒花を連れて実家に帰ろうとするところでした。
上京してからの二人の恋愛&結婚編も見たかったのですが,カットされていたのはその部分はまだ緒花とシンクロする部分ではないからですね。
映画第二弾や2期で緒花の恋バナが描かれる時に登場してくるのではと思っています。
業務日誌で自分の名前を見つけたところで停電から復旧する演出もよかったです。
そのようなわけで映画では母と娘の関係がメインになっています。
これまでは自由奔放で自分勝手で散々振り回されてきましたが,手の届かない大人だと思っていた母にも自分と同じような時があったことを知り,これまでとは違った見方をするようになります。
業務日誌からそのことを知って夜に走る緒花と列車を追いかけて走る皐月さんが重なっています。
そこに,皐月さんとその母である四十万スイとの関係や,まるで完璧な母のように妹たちの面倒を見る奈子の姿や厨房組の師弟関係を絡めてきます。
過去編では社長であるスイの旦那が亡くなった少し後のようで,女将ではダメだと言われないように無理しています。仕事一筋です。
それを見て,父の亡霊にしがみついて必至になっている……自分はそうはなりたくないと思う皐月。
しかし,自分も旦那を亡くすことによって,その時の母の気持ちを理解できるようになります。
旦那が亡くなり,赤ん坊の緒花を連れて実家に戻ろうとする皐月ですが,実家で目にしたのは懸命に働く母の姿。
亡霊を追いかけているのではなく,自分に負けられないから頑張っている,見ているのは過去ではなく未来だということに気がつきます。
それで自分も同じようにしようと,母に会わずに帰ります。それを後押ししたのが緒花の笑顔でした。
仕事を頑張っているのは自分のため,緒花のためだったんですね。
奈子の妹は明日遠足なのに母は出張中ということでスルーしています。
その境遇と自分を重ねる緒花。
母とは違い仕事も家のこともきちんとしている姿を見て,理想のお母さんみたいと思ってしまいます。
しかし,かなり無理をしていたこと,限界に近づいていたことを知ります。
奈子がいつも我慢していたことを知り,その姿を自分と重ね,妹の居場所を緒花が察するところの展開は見事でした。
外から見えている部分と実際の姿とは違う。そのことを知ってより一層理解を深めてゆくという母娘の関係を身近な友達の例とも重ね合わせていました。
奈子の代わりに大声で泣く緒花。我慢をし無理をしていても妹の前ではしっかりとお母さんする奈子。
母のしている苦労というものがわかったのでしょう。皐月さんもあんな感じですが,娘の前で無理している時があったはずです。
その緒花の涙を全く理解できないでいる奈子の妹の姿が子どもの時代の緒花とも重なっているはずです。
厨房では徹さんに認めてもらおうと張り切っている民子ですが空回りしています。
プリキュアのキャラ弁には吹きましたが。それで食べる相手のことを考えることが大事であることに気がつき成長する民子。
失敗から学ぶのは連さんも同じだったことが過去編からも明らかに。
みんなそうして成長してきていて,厨房での師弟関係でも同じことが繰り返されています。
過去編でブラックレインが上演されていたので,過去編の舞台は1989年か。
花咲くいろはの放送が2011年で緒花が高校二年なので,2011-17=1994年生まれ。
作中で皐月さんは受験生なので高三か。1989年に高校三年だとすると1971年生まれ。
ということになるのか。
皐月さんとカメラマンとの最初の方での会話「わたしのこと買ってみる?」にマリーらしさを感じました。
いつものように性的なキーワードを入れてくるのですが,二人が結婚することになることや親子の関係を軸にしていることを考えると妥当なところか。
お風呂シーン多めでサービスしていました。
TV版でも若い頃の皐月さんが登場した回があったのですが,その時の皐月さんも伊藤かな恵さんが演じていました。
今回は皐月さんの台詞が多かっただけに若干違和感が。大人版の皐月さんを演じている本田貴子さんとの違いが……
映画感でもらったいろはの宣伝用みたいな新聞サイズのちらしに伊藤かな恵さんのインタビューが載せられていたのですが,母と娘の演技の切り替えが難しかったと。
次郎丸さんの小説が登場。貸本になっていました。
そういえばTV版で登場した「温泉仲居 泡まみれの新人研修」の作中でも緒花が「もっと輝きたいんです」と言っていました。
EDでの走る皐月さんが胸熱です。
旅館から去ってのと鉄道に乗ったカメラマンを追いかけるシーンと重ねていました。これまでの重要な場面での走っているところが流れ,赤ん坊の緒花から今の緒花と繋げる演出は見事でした。
タイトルの Home Sweet Home には,懐かしく楽しい我が家,帰る場所としての家を指して使われますが,喜翆荘がそのポジションになっています。
でも,そこに帰るのではなく引き返す皐月。旦那と造り上げた家庭が皐月にとってのHomeとなっています。
花咲くいろはを久しぶりに見ましたがいい作品ですね。
TV版をもう一度最初から見たくなりました。
2期もきっとやってくれると思っているので楽しみに待つことにします。
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