「俺の妹がこんなに可愛いわけがない ポータブル」 感想
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完結した「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」ですが,最終巻を読んだ勢いで積んでいたゲーム版もプレイしました。
俺の妹がこんなに可愛いわけがない ポータブル ですが,続編も出ています。
攻略ヒロインは桐乃,黒猫,あやせ,麻奈美,沙織。それにいくつかのおまけルートとIFルートがあります。
全体的に見てキャラゲーという感じで,シナリオの出来はそれほど高くありません。キャラとの会話を楽しみながらプレイするといった感じです。
キャラとの2ショット会話での好感度上げとどの話題をセットするかによって分岐するのですが,複数エンドでも最後の結末が違うだけというのが多く,思い切ったシナリオ展開やお遊び的なものは番外編に限られてしまっています。原作がある作品なだけに仕方のないことでもあるのですが……
ヒロインルートでシナリオが一番優れていたのはあやせルートです。
あやせ最高でした。きちんと見せ場を作り,京介やヒロインたちの絡ませ方もよかったです。
時系列的には桐乃が留学から帰ってきた後になっているのですが,原作終了後にプレイしても違和感のない構成になっていました。
各キャラルートの感想はネタバレになるので追記で:
共通ルートはシスカリゲーム大会と修学旅行です。
ここでの選択,誰とゲームでペアを組むとか打ち上げでどこに行くとか,修学旅行のお土産などのフラグ立てで,5人のヒロインルートへ分岐し,フラグを立てないと赤城エンドになります。初回プレイはオートで流していたら赤城エンドになってしまいました……
ちまちまと進めていたので正しく記憶していないところもあるかもしれません。個人的な感想ということで。
黒猫ルート:
このルートでは黒猫に思いっきり避けられます。その理由を探り,黒猫を助けようとするのですが……展開的にはgdgdです。
拒絶の理由はコミケで出す同人誌の制作が遅れている。自分の作品で分身みたいなものだから自分で何とかしなくてはいけない。と一人で頑張ろうとする黒猫なのですが,京介も黒猫も煮え切らない感じの言動でキャラの魅力を消してしまっています。
ほのぼのできたのは黒猫の妹関連のところでした。
Good End は黒猫とつきあうことになり,黒猫は桐乃を妹と呼ぶように。「俺の義妹がこんなに可愛いわけがない」というオチです。
その他のエンドもコミケエンドで,本が完成しない,京介のミスで本が届かない,無事成功で黒猫がお礼をといった感じで,Bad Endならではの展開ではなく,途中終了という感じで手抜き感があります。わたしはBad End好きなので,Badならではの展開を見せてほしかったのですが……
他のキャラの攻略を進めればもっと黒猫とラブラブするようなシナリオがあるのでは……と思ったのですが,追加シナリオは発生せずということでキャラ的に冷遇されています。
こうした扱いを見るとメインヒロインは桐乃ということなんですね。もっと黒猫といちゃいちゃするところを見たかったのですが。
追記:
限定版に付属のショートストーリーを読んだら,黒猫ルートの後の話でした。
二人には子供が生まれ桐乃が家に入り浸るように。子供に自分のことをママと呼ばせようとしているし,妹ゲームで英才教育しようとしています。
桐乃ルート:
このルートでは修学旅行から帰ると桐乃に異変が。お土産に頼まれていたメルルグッズを渡しても怪訝な顔です。
なんとオタ関連のことだけ忘れているという記憶喪失に !? そんなピンポイントな記憶喪失があるのか !? と突っ込みを入れざるを得ません。
桐乃はオタなものにドン引きする一般人に。
そんな自分を新しい自分として受け入れようとするのですが,京介はかつてのオタ友達である黒猫と沙織も蔑ろにすることが許せず,桐乃は友達を大事にする人だった……だから今の桐乃を受け入れるのではなく,オタ関連の記憶を取り戻そうとアキバを連れ回したりします。妹のためというよりも自分のエゴで動いているように見えてしまいます。
原作ありの作品だけにオタな桐乃,元通りの人間関係に戻すことが大正義というわけなのか。
桐乃に必要なのは専門家の助けのように思えるのですが,京介は自分のイメージしていた妹の像に桐乃を戻そうと躍起になります。ということでそれを見て,元のオタな自分って……と桐乃も不安になるわけで,逆効果のように感じてしまいます。
京介がそうするのはオタな趣味がきっかけで疎遠だった妹との関係を取り戻せたからで,オタな記憶がなくなったら桐乃との接点がなくなるから。ここまで築き上げてきたものを失いたくないから自分で何とかしたいと思っていました。兄としての務めという思いがそうさせていたのでは。
結局は二人で「妹×妹」をプレイしているうちに,作品の決めぜりふ「ずっとずっと好きだったよ」を桐乃が思い出すという展開です。
この「りんこ」の台詞が桐乃の本当の気持ちなだけに記憶を取り戻したということですね。愛による大勝利です。
Good End では妹のために頑張ったことが報われます。
ゲーム機には買ってきたお土産が。
最後はみんなでコミケに。Goodでは桐乃がステージに登場して自作の電波ソングをライブで披露します。これがゲームのED曲になっています。
お兄ちゃんのためにということで京介のために作っていました。京介は会場のお兄ちゃんのことだと勘違いしていますが……
別エンドだとライブがなかったり,記憶を取り戻さなかったり。
それでも,徐々にオタの道を進むようになり黒猫たちとも仲良くなっています。
兄妹の関係を取り戻すきっかけになったものがなくても二人はいい感じになれます。
Badだと桐乃はオタク趣味も黒猫たちも否定し,それにキレる京介。仲直りできず疎遠になります。
この他にもIFルートがあるので桐乃がメインヒロインという扱いになっています。
あやせルート:
あやせから桐乃が最近冷たいと相談を持ちかけられることに。
桐乃は新作ゲームをプレイするためにあやせの誘いを断っていました。
それで二人を仲直りさせようと部屋に連れ込んだら,隣から新作ゲーム(エロゲ)をプレイする桐野の声が !?
しかし,あやせは桐乃の趣味を受け入れることができていて,そのことで変態扱いしていた京介を許すようになります。
それで桐乃の趣味について知ろうと歩み寄りを見せるあやせ。アキバやコミケも一緒に行くまで成長します。
それで「妹×妹」(全年齢版)を一緒にプレイすることに。
りんこは桐乃にそっくりです。声が同じだし
一緒にプレイしているところに桐乃が乱入したりとシナリオ展開も一番面白いです。
桐乃とあやせの関係,京介とあやせの関係を上手に絡めながら描いています。
あやせとつきあうことで発生する修羅場が最高です。
京介は就職後にあやせと結婚。
桐乃とも仲直りすることができていました。
このあやせルートはシナリオの出来が優れていました。
原作であやせへの愛を何度も語る京介でしたが,それを恋愛に絡めてきていました。結婚しようが現実になります。
少しずつ心を開いてゆくあやせがよかったですね。
桐乃との関係や他のキャラの使い方も上手だったし。
別ルートでは桐乃のためにあやせと別れるのもあるのですが,途中で派生する加奈子ルートと禁断の百合編のIFルートが面白いです。
加奈子ルート:
コミケで加奈子のステージを見ようとしたら当人に発見されてしまいます。
それで,元マネージャーの京介が桐乃の兄であることがバレます。加奈子に弱みを握られることに。
買い物などに呼び出されるようになるのですが,どうみてもデートです。
加奈子といい感じになるのですが,このルートではブリジットが乱入です。
仲を否定するのではなく,キスしてつきあうことに。
あやせの裏ルートとして面白かったです。
オタク趣味を否定していたあやせでしたが,加奈子は桐乃の秘密を知り,それをキモいといいながらも,友達ということですべて受け入れてくれます。小さいのにこんなに器が大きかったとは
同じ桐乃の友達でもあっさりと割り切れる加奈子とわかっていてもなかなかできないあやせとの対比が面白かったです。
あやせるーとでの他キャラの乱入は修羅場感がありましたが,こちらではほほえましい展開に
禁断の百合編(IFルート):
あやせを部屋に連れ込んでいることが桐乃にバレるとIFルートに。
桐乃の顔を見たかったからと強引にごまかすあやせでした。
裏で暗躍するあやせが最高です。
桐乃への愛が暴走し,自分だけのものにしようと。
脅迫メールで友達を引き離し,桐乃を孤立させます。
そして,弱ったところを狙って自分に依存させるという高度な作戦が。
ミステリー風の展開であやせの闇の部分を見せてくれました。
麻奈美編:
麻奈美と彼氏と彼女の関係に。
麻奈美がギャルゲのヒロインの定番行動をとるように。
いつもとは違い攻めてくる地味子でした。
でも京介が麻奈美に求めているのはいつもの変わらない日常,平穏な日々です。
昔の麻奈美も好きですが,今の新しい自分にチャレンジしている麻奈美も気に入っています。
それで昔の姿に戻るのではなく未来の麻奈美に期待している……みたいなことをいうのですが,これを「振り文句」だととらえる麻奈美。
それで,様子がおかしくなり,学校も休みので,桐乃に人生相談すると,そのあたりの微妙な乙女心を教えてもらえます。
兄貴と地味子の仲を取り持とうとする桐乃が熱いです。
京介は変わろうとしていた麻奈美に自分も合わせることにする,だからずっと側にいてくれと熱い告白をすることに。
でも,実はただの風邪でした……というオチでした。でもそれを恋の病……と返す麻奈美。
年老いても仲睦まじいというのが二人の未来の姿でした。ずっと変わらない関係が続いていました。
ギャルゲらしいストーリー展開でした。
幼馴染みなのに幼馴染みヒロインらしくない麻奈美ですが,このルートではギャルゲ的幼馴染みヒロインしてくれます。
その違和感とこれまでの二人の関係を絡め,これまた定番の誤解イベントで壁を乗り越えて前に進むことができていました。
いろいろと波乱がありながらもずっと変わらない日常を築き上げることができます。
この件で人生相談の借りを返した桐乃ですが,かなりの大盤振る舞いでしたね。原作11,12巻での桐乃と麻奈美の関係を考えると素直に協力しなそうですが……
麻奈美とのギャルゲ展開をスルーしまくると,いきなり婚約することに。
それを知ってショックを受けてご飯ものどを通らない桐乃でした。
それで桐乃はいきなり留学することに。
これまで通りの二人の関係が続いた結果のエンドという感じです。波乱は起きず今まで通りの心地よい関係がそのまま続くことに。
これもGood End ではあるのですが,お互いに強く望んで結ばれたという終わり方ではないです。桐乃との関係修復は難しそうですし。
京介が昔の心地よい関係に戻ろうとすると,二人はゆっくりとつきあってゆくことに。
花火大会デートでエンドに。未来のことは先回しにして普通の高校生カップルという感じです。
麻奈美との関係をギャルゲ展開みたいだとロックに話してしまう京介。
今の変わろうとしている麻奈美を否定するとIFルートに。
すると麻奈美は思いきって子供の頃の夢であるアイドルを目指すことに。
京介のことw吹っ切って新しい自分へと突き進むことに。
あやせの事務所からロックとユニットを組んでデビューすることに !?
すごくロックな展開です。
変わらない関係を求める京介と新しい自分に変わろうとする麻奈美のギャップがこじれると,明後日の方向へと覚醒してしまいます。
ビジュアル的には律ちゃんみたいに。中の人つながりですね。地味に見えてもスペックは高かったのか。
沙織編:
沙織編に入ると,京介は呼び出されて大事にしていたオタグッズをもらってくれと頼まれることに。理由は言えないけど受け取ってくれと
やがて真相が明らかになるのですが,父の取引先の御曹司とお見合いして婚約することに。
しかし,婚約者がオタク趣味に否定的なので,オタをやめることを強要してきます。
それで京介が何とかしようと……
あやせルートがいい出来でしたし,麻奈美ルートも合格点の出来だったのですが,ここでgdgd展開が。
黒猫ルートと桐乃ルートの悪いところが合わさったような話に。
婚約者の一般的なオタクに対する見解と,沙織の親孝行になるようなことをしたいという願い,京介の今まで通りの沙織であって欲しいという願望がぶつかり合うのですが,うまくかみ合わせることができていません。
結局は望まないことはしたくないということをはっきりと告げることができて婚約は破談に。
京介が新たな婚約者に。
在学中に式を挙げることに !?
説得に失敗すると表向きはオタク趣味を捨てながらも黒猫と桐乃との関係は何とか続けることができていました。
沙織ルートは原作でフラグが立っていないだけに難しいものがありそうです。傍観者というか,一歩離れたところから全体を見て,物事が上手く行くようにするという調整役のポジションなのでヒロイン役として動かしにくいキャラです。
お嬢様設定ということでお見合い展開にしたようですがそれを上手に生かすことができていませんでした。お見合い展開の定番である強引に連れ出すとか,好きな相手がいるということにするといったようなベタなラブコメ展開にした方が面白かったのでは。
その他IFルート
京都面妖編:
赤城エンドを何回か繰り返すともらえる話題,「旅館を探索」をセットすると入ることができます。
旅館を探検すると怪しげなゲームの世界のようなところに。そこにあるという裏伏見に行くと何でも願いを叶えることができると。
そこで赤城が願ったのは,「妹と生涯離れず仲睦まじくなれますように」
気がつくと学校の前。やたらと笑顔で「お兄ちゃん」を連呼する桐乃。これが裏伏見の効果なのか……
と思ったら願いの効果が強すぎたのかヤン化する桐乃……
京介を自分だけのものにするために監禁しようと !?
こういうシナリオは面白いですね。
もともとお兄ちゃんが好きだっただけに願いの効果が合わさって暴走するように。なので赤城の妹はここまで酷い状態にはなっていないと思うのですが
兄と妹の事情編:
桐乃ルートに突入して「思い出のアルバム」をセットすると入ることができます。
すると,桐乃の部屋でアルバムを見つけるのですがそこに写っているのは桐乃と両親だけ。京介は写っておらず自分の記憶にないイベントばかり……
父に尋ねると衝撃の事実が !?
しかし,それによって桐乃との関係がぎこちなく
それで,何か隠していることを桐乃に気がつかれてしまい,義理の妹であることを白状してしまいます。
ずっと兄のことが好きだったことを告白する桐乃。
「妹×妹」のりんこルートでの決め台詞です。
原作12巻では隠されていた桐乃のアルバムには京介の写真がたくさん貼られていました。
ゲームで義妹エンドをやっていたということは原作ではこの終わり方をしないことになっていたということですね。
極悪桐野編:
上のエンドを見た後で「裏の顔」をセットすると入ることができます。
桐乃と買い物デートすることに。
買い物中にあやせ,麻奈美,黒猫&沙織と遭遇するのですがそのときの会話が面白かったですね。
わがままで理不尽な桐乃に一日振り回されることに。
大変な一日だったと言う京介に対し,桐乃は最高の一日だったと。すべては計画的でした。
これも見せつけたということですね。
総評:
ギャルゲをやり込んでいる人だとシナリオやボリュームに不満を感じるところがあると思うのですが,作品のファンなら十分に満足できるクオリティになっています。
最終巻での決着の付け方も考慮されてシナリオが監修されていた感じでした。
2ショット会話の選択肢もそれほどシビアではなく,選択に失敗しても緊急回避で挽回できるし,弾幕をオンにするとコメントで選択が正しかったどうかを見極めることができました。ルート分岐のチャートもあったので攻略しやすかったです。
続編も出ているのですがプレイするのはここで終わりにしておきます。PSPの積みゲーもたくさんあるので少しずつ崩していこうかな。
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