SUPER BOWL XLⅢ PIT vs ARI 感想
PITの試合を見るのは3年前のスーパーでシアトルに勝ったとき以来です。あの時はQBのロースリスバーガーが2年目のシーズンで,スーパーではダメダメな出来だったのに,要所でビッグプレイを決めて勝つことができました。
ARIは創設以来はじめての進出です。
QBのワーナーはラムズ時代の2000年にタイタンズに勝利,2002年にはペイトリオッツ相手に敗れています。スピードのあるバックスたちに速いタイミングのパスを決めていました。
見所はARIのパス攻撃に対してPITがどう対応してくるかですが,ARIのディフェンスがPITのラン攻撃を止められず,時間をとられるようだと苦しくなります。
長文になったので追記します
1Qのキックオフですが,ARIがキックを選んだのは以外でした。
ARIとしては先に点を入れて優位に立つ必要があるのに・・・
PITの最初のドライブですが,ARIはディフェンスが対応できてないです。ARIは4-3をつかっています。
ブリッツをそれほど入れているわけでもないのにレシーバーをカバーしきれていません。
PITもオフェンスラインに穴が。LBやSの内側からの進入を許しています。
結果ゴール前に進みながらもPIT伝統のパワープレイで押すことができませんでした。
結局ロースリスバーガーがスクランブルから飛び込んでTDですが,チャレンジで判定が覆ります。判定は微妙でした。ボールがラインに少しでもかかればTDなので入っているように見えたのですが・・・
PITは無理してTDを狙うのではなくキックで3点を取ります。3-0
とりあえず先制することにより有利に立てます。オフェンスが機能していたので無理をする必要はないので良い判断です。
続いてARIのファーストドライブ。PITは3-4。NFL最強のディフェンスです。
PITはブッリツを入れてきています。
ARIはジェイムズへのハンドリングミスがあったりパスのタイミングが合わなかったりと機能していません。
PITは2QにRBラッセルのTDランで10-0に。
ここまでPITは19プレイで145ヤード,12:27
一方でARIは5プレイで13ヤード,3:32
2回目のオフェンスシリーズが2Qに入ってからでした。
レシーバーがカバーされているのでワーナーは早いタイミングのパスを投げれないでいます。
2ndターゲットに投げることが多いです。
しかしWRボールディンがビッグプレイを決めてゴールラインの前に。ボールディン速いですね。
TEパトリックにフライパスを通しTD。10-7
2Q終盤にロスリスバーガーのパスがはじかれてインターセプト。
ARIは良いポジションからの攻撃です。
2Q残り0:43でNFLトップレシーバーのフィッツジェラルドが初キャッチ。残り13ヤード。
残り0:18ゴールまで2ヤードの位置からのボールドウィンへのパスを中心選手LBハリソンが前に入り込んでINT,素晴らしいブロックが連続してそのままエンドゾーンまで走りこみます。LBの100ヤードのリターンTDというのはすごいです。17-7でハーフタイム。
ハーフタイムショーはTheBossことブルース・スプリングスティーンです。さすがに年をとりましたね。
3Q終盤にPITはキックで追加点。20-7
ARIは反則が多いですね。
4Qに入って13点差。ARIは二つのTDが必要です。
残り時間を考えてショットガンフォーメション,パスで距離を進めてゆく必要があります。
ここにきてフィッツジェラルドへのパスが通り始めます。
そして191cmのフィッツジェラルドに浮かせたパスを投げ高さで勝負させてTD。20-14
完璧にマンカバー腕の間に手を入れられていたのにキャッチを決めます。さすがです。
3:35になってPITは1ヤードラインからの攻撃。セーフティ-に警戒する必要が。
PITはここで長く攻撃できれば勝利が近づきます。
ARIは2TD取れないと負けなので,早く攻撃権を奪い返す必要があります。
セーフティーをとれば得点が入り,攻撃権ももらえます。
PITとしては安全なのはランプレイですが,QBやRBはエンドゾーン内でプレイすることになるのでタックルを喰らうとセーフティーです。
パスを投げてインターセプトされるとそのままリターンTDになる可能性が高いです。
この重要な場面でARIはブリッツを入れてきました。
浅いゾーンにパスを投げますが,カバーされていて通りません。
続けてパスの隊形からランプレイ。エンドゾーン内で止まったかのように見えます。が超えたと判定されます。
ここで3ダウン。ロスリスバーガーはネイキッドのショットガンからパス。
3人のレシーバーを展開させて残り2人のバックスをプロテクションに当て,ホームズに20ヤードのパスと通し,1stダウン。ピンチから脱出します。ほぼ勝利が確定です。
・・・しかしオフェスンのホールディングの反則が!!!
エンドゾーンの中での反則なのでセーフティーです!!!
これで20-16の4点差。ARIはTDを取れば逆転です。
このシリーズも勝負どころです。
PITはキックではなくパントで蹴り,奥に蹴りこむことよりも相手にリターンさせない戦術で来ました。
ARIは自陣35ヤードから。残り時間は2:53.時間は十分にありますがTDを取らなければなりません
ビッグリターンをされて時間を使われてTDされると負けなので確実な策を取ってきました。
ARIはショットガン。
そして2プレイ目にフィッツジェラルドにパスを通し,そのままTD!!!逆転です。
PITはフィッツジェラルドにはマンカバー。LBとSがゾーンで守り,1stダウンを与えない隊形。万一抜けられてTDになったとしてもまだ2分以上あるのでギャンブル的な守備だったのですが,フィッツジェラルドがパワーとスピードをいかしてマッチアップしていたCBを完全に振り切ります。
ちなみにフィッツジェラルドは191cm103kg,マッチアップしたテイラーは185cm87kgです。
3Qまで沈黙していたフィッツジェラルドですが4Qに入ってから素晴らしい仕事をします。
ARIは普通にキックオフ。自陣22ヤードからの攻撃開始です。
スコアは20-23。残り時間は2:30。キックを決められても同点なので奥に蹴りこんできました。
再び勝負どころです。このドライブが勝負の分かれ道になります。
PITもショットガンプロテクションはいいのですがターゲットが見つかりません。
RBにサイドラインパスを投げます。しかしホールディングの反則。自陣12ヤードからの1st&10になります。これで3回パスを投げることが確定なので,ARIのパスディフェンスに注目です。
ARIは4人のラッシュですが2人がQBに迫ります。ロスリスバーガーはそれをうまくかわしホームズにパスを通します。あと一歩でサック,ゲームセットのところでした。
続いてハリーアップオフェンスで2ミニッツの前にプレイをします。奥に投げるがインコンプリートです。
そして2ミニッツ。自動的にタイムアウト。両チームとも策を練ってくるので次のプレイが鍵を握ります。
ここでQBのパス成績が。
ロスリスバーガーは25回投げて17回成功の186ヤード,0TD,1INT,レイティングは73.1
ワーナーは41回投げて29回成功の344ヤード,3TD,1INT,レイティングは110.2
ちなみにレイティングはQBの偏差値みたいなもので,75が合格点,80を超えれば誰も文句なし,90を超えれば賞賛,100を超えればネ申レベルです。
後半に来てワーナーが逆転しています。
ロスリスバーガーは3年前よりははるかに良いですがまだスーパーでのTDがありません。
2ミニッツあけの注目のプレイ。
ARIは4人のラッシュに3人がブリッツを入れてきます。
しかしこれをラインがうまくブロック,ロスリスバーガーもラッシュをかわし,ホームズにパスを通します。
ARIは勝負をかけてきましたが1stダウンを取られます。
もう一本パスを通しハーフラインまで来ますが残り時間が1分と少し。
ここでARIは4人のラッシュ。ロスリスバーガーはターゲットが見つけられずスクランブル。タックルされ時間を止めることもできません。ここで仕方なく2回目のタイムアウト。残り時間は1:01
とにかくフィールドゴールレンジに入る必要があるので最低でも15ヤードは進む必要が。
こういう時のキッカーは大変です。ワールドカップ決勝のPK以上のプレッシャーがかかります。
ここでARIは5人のラッシュで1stダウンを取らせない守りを取りますが,ホームズが完全にフリー。エンドゾーン手前まで走りこみます。マンカバーがついていなかったです。
リプレイを見たらルーキーのCBクロマティーがホームズを担当していましたが,QBがスクランブルすると判断したのか,前にいるRBにスクリーンパスを投げると判断したのかカバーを外して前に出てしまいます。その隙を突いてロスリスバーガーがホームズにパスを通しました。このミスは痛いです。
ここでPITが最後のタイムアウト残り時間は0:49,残り7ヤード。
タイムアウトがないので,パスを投げてTDを狙い,ダメだったらキックを蹴ることに。
こういう時のために準備しているプレイを使ってくるはずです。
ARIとしてはとにかくTDを防げば負けはないです。
インプレーでタックルすれば時間がなくなるのでかなり有利に。インターセプトすれば勝利が決定です。
PITはやはりデザインされたフォーメーションを。ショットガンのネイキッド。
右に3人のレシーバーを固めプロテクションもできるように,左にはワイドの位置に縦に2人を配置します。
ここで5人のバックスがエンドゾーンに走りこみ,ロスリスバーガーは左のホームズに高いパスを投げますが取れません。スペースはあり取れるパスだったのですが・・・
残り0:43で2nd。もう一回パスを投げに行きます。
PITはショットガンで4人のレシーバーをワイドに展開。
ARIは4人がエンドゾーン近くで迎え撃ちます。
PITはウォードがインモーションして中に切り込み,パスを受けようとしますが,ロスリスバーガーはそこに投げることができません。
デザインしていたプレイが崩れますが,ロスリスバーガーはエンドゾーン奥に走りこんだホームズに高いコーナーパスを投げ込みます。
これをホームズがキャッチ!!! リプレイを見ても両足をはっきりとついています。素晴らしいキャッチです。オフィシャルレビューでインプレイが確定。これで再逆転。残り時間は0:35
ロスリスバーガーはプレイが崩れても冷静に投げました。
DBの頭の上を通り越すパスをホームズに。パスが長ければ,ホームズは外に出てしまいキャッチできません。短いとDBにインターセプトされてしまいます。見事なピンポイントパスでした。これがスーパーでの初TDパスです。
27-23で残り35秒。タイムアウトが2つあるとはいえTDを取らなければならないので,無理をする必要があります。
キックで奥に蹴り込み残り0:29自陣25ヤードからのスタート。
とにかくパスを通してTDをとらなければなりません。
PITは4人のラッシュ,のこりが深いゾーンを守り,ビッグゲインのみを阻止する隊形です。
ここでフィッツジェラルドにミドルパスを通しますが,インフィールドでダウン。3人にカバーされながらもキャッチです。ここで2回目のタイムアウトを使います。
残り時間は0:22,まだ自陣の43ヤードです。
ワーナーは今のパスでモンタナのスーパーでのパスのヤードを超えました。
攻撃できるのはあと2回ほどです。
PITは4人のラッシュ。
ターゲットが見つからず短いパスを投げてハーフラインを超えます。
ここで最後のタイムアウトを使い,残り時間が0:15
次のプレイがラストプレイになります。
もう長いパスをエンドゾーンに投げ込むか,少し手前に投げて走りこませるかしかないです。
当然PITはエンドゾーンに人を集めてきます。手前で止めれば次のプレイの時間がないので勝利です。
PITは3人のラッシュなのですがワーナーに迫りパスを投げさせません。
これで勝利が確定と思ったら,最後にワーナーがパスを投げたと判断され,その後にタックルをしたということでPITが反則を取られてしまいます。いや違いました,PITのファンブルフォースです。ボールをリカバーしたPITに攻撃権が移り勝利確定です。。
そして最後のニーダウンで5秒を消化し,PITが最多の6度目のチャンピオンに!!!!!
トムリンHCは36歳という最も若いチャンピオンです。
ARIのHCワイゼンハントはPITのコーチで,カウアーHCが勇退した後のHCの有力候補でしたが,PITが選んだのは若いトムリンを外から引っ張ってきました。
ワイゼンハントとしてはPITに勝って意地を見せたかったところですが,序盤にオフェンス,ディフェンスとも機能していませんでした。判定にも助けられてきましたが,準備の点ではPITに負けていましたね。フィッツジェラルドの力で逆転はできましたが,勝負どころでPITを止めることができませんでした。
PITはオフェンスを信じてTDを許す危険があっても攻撃的なディフェンスを使い,ロスリスバーガーに投げさせてきました。
ARIもチャンスはあったのですが・・・PITのことを知り尽くしているはずなのにそれを生かすことができませんでした。
見所の多い素晴らしいゲームでした。
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