Junk Head な奴らラノベ迷い猫オーバーラン!4 みんな私が拾います感想

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ラノベ迷い猫オーバーラン!4 みんな私が拾います感想

迷い猫オーバーラン!〈4〉みんな私が拾います (集英社スーパーダッシュ文庫)
(2009/04)
松智洋

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季節はクリスマス前。新たな迷い猫が登場です。
4巻の主役は乙女姉さんでした。

1,2巻には若干の不満があったのですが，3巻で大きくレベルアップし，注目するシリーズになりました。

4巻は乙女姉さんにスポットに当たります。
これまでは乙女さんは，仕事を放り出して，突然人助けをするために行方不明になったり，人を拾ってきたりと，痛いというか残念な人だと思っていたのですが，4巻を読んでその見方が変わりました。
乙女姉さん，痛い人と思っていてすいません。

4巻では舞台がクリスマスで，プレゼントやクリスマスの奇跡がテーマとしてストーリーに取り込まれています。

ストーリーは新キャラのクリス視点から始まり，クリスマスまでに探しものをするために来日したことが語られます。
その一方でストレイキャッツでは，世界の歌姫エマ・ロンドの来日のニュースが流れます。3人のヒロインたちは緊急会議を開き，恋する巧に何をプレゼントをするかを話し合います。

ヒロインたちがクリスマスに巧に何をプレゼントするのか，巧は何をプレゼントするのか，クリスマスのケーキ作りはどうなるのか，そうした中，乙女さんは一人の迷い猫，クリスを拾ってきます。

乙女さんはクリスが助けを求めているというだけで拾ってきますが，クリスはこの近くに住んでいるKaoruというおっさんを探していて，クリスマスまでに見つけようとしています。

このクリスの人探しとクリスマスのプレゼントが4巻のストーリーの中心です。

新キャラであるクリスの正体や，探している人は早い段階でわたしはわかってしまったのですが，クリスが育った環境のせいもあって心を閉ざしているのですが，徐々に心を開いていき，信頼を見せてくれるところの描写が良かったです。最初は生意気，女性陣にしかいい顔を見せない，いけすかない奴に見えるのですが，可愛いところもあるところを描いてくれていました。

そして4巻の最大の見所は乙女姉さんです。
なぜ乙女姉さんが人助けをするのか，迷い猫を拾ってくるのか，そのことが明かされます。
それがわかるとき，4巻のサブタイトルが「みんな私が拾います♪」の意味が解ります。

こうした乙女さんの過去や行動理由を知るとき，乙女さんってなんていい人なんだ，誰であろうと困っている人のことを気遣うことができる人なんだということがわかり，乙女さんの人柄に惚れます。

ヒロインたちである，文乃，希，千世の巧を巡るラブコメ展開も面白いです。
ヒロインたち全員が巧のことを好きであるにもかかわらず，フェアな戦い，協力関係が見られます。
ドロドロした展開にはならず，巧もそれぞれのことを気遣っていることが伝わってくるので，安心して読める世界観です。

3巻でラブコメ展開の描き方が上手になり，4巻ではしっとりとした展開や，大団円に向かって見事にストーリーをまとめてゆく描写が見事だったので，今後も大いに期待できます。

1巻では文乃，2巻で千世，3巻で希，4巻で乙女さんと4巻までで主な女性登場人物のことや過去を描いてきました。

5巻以降はどうなるのか楽しみです。
新たなヒロインを登場させるのか，それとも叶絵や珠緒先輩にスポットが当たるのか。

4巻がクリスマスだったので5巻は年末年始イベントかバレンタインイベントになるのではと思います。
基本的にラブコメでありながらも，魅力的なヒロインたちとの掛け合い，心温まる感動のストーリー展開やネタも織り交ぜてくる，それが迷い猫の魅力になっています。笑えるがホロッとくるところもあるそんな迷い猫にこれからも期待です。